忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

イヌホオズキをお盆の季節に考える

イヌホオズキ(犬酸漿/鬼灯)/ナス科/ホオズキ属
在来種 1年草 花期は8〜10月 漢名:酸漿

またまた言い訳から始めさせてもらう。はっきりと「イヌホオズキ」と確定した訳ではない。候補として「オオイヌホオズキ」「アメリカイヌホオズキ」があり、どれも似ているのである。花の色はどれも白で中心部は黄色、花弁は星型をしていて5枚ある。キーボードで「ほし」と入力し、それを変換すると出てくるあの星のマークだ。まあナス科に共通の特徴である(「ワルナスビは進撃する」2015.5.25参照)。「イヌホオズキ」も「オオイヌホオズキ」の花もいわゆる星型であるが少し違いがある。「オオイヌホオズキ」の花はガクの方へ反り返っており、その形が赤ん坊が好きな「おしゃぶり」に似ているのである。あくまでも個人的なイメージですけれどね。また「アメリカイヌホオズキ」とは葉の形が違うように思う。なので「イヌホオズキ」で話を進める。

名前の由来は「イヌ(役に立たない)ホオズキ」である。では「ホオズキ」が何の役に立っているかと言えば、お盆の行事の飾りである。つまり装飾に使えないから「役立たずのホオズキ」と呼ばれるようになった珍しい例だ。普通は食用かそうでないかが基準になる。食用の「ホオズキ」もあるようだが(ペルー産)、日本にやって来たのは比較的最近のことである。

だいたい「酸漿」や「鬼灯」と書いて、それを「ホオズキ」と読むこと自体が強引だ。中国語の「酸漿」に対して、深江輔仁「本草和名(918年)が「和名保々都岐(ホホツキ)、一名奴加都岐(ヌカツキ)」のことと解説し、源順「倭名類聚抄(934年)」では「和名保々豆木(ホホズキ)」としている。このあたりが「ホオズキ」と記録されるようになった最初だろう。では何故「ホオズキ」になったのかハッキリとしたことは不明のようだ。「頬(ほほ)説」「カメムシ説」があるようだ。「頬説」は「ホオズキ」の実を口に含んで音を鳴らす遊びとの関連性を指摘している。その遊びは知っているが実際にやったことはない。
漢名の「酸漿」はどこかで見たなと思っていたが「カタバミ=漢名:酸漿草」と同じである(「カタバミは意外な所で人気者」2015.6.7参照)。もう一つの「鬼灯」が問題である。まあ最近は「鬼灯」というと漫画が頭に思い浮かぶ人もいるだろうが。

「鬼灯」は「鬼の提灯」の意味だろうが、頭に角のあるトラのパンツを履いた鬼が死者の霊の道案内のために用意した提灯というわけではない。今でこそ「鬼」は暴れたり、懲らしめられたり、泣いたりというキャラクターとして有名ではあるが、元々は違う存在を意味している。卑弥呼が国を統治するのに「鬼道をもちいて」とあるのは「鬼」を使役していたわけではない。「鬼道」とは原始宗教の一つと考えていい。陰陽師の式神ではないのである。

「鬼」はもともと霊や死霊の意味なのだ。じゃあ「霊」と呼べばいいのにと考えがちであるが、「霊」という言葉がなかっただけである。「ホオズキ」はお盆に帰ってくる先祖の霊が道に迷わないようにと、自然(仏、神でもいいが)が用意した心配りだと考えればいいんじゃないの。

この項の主人公である「イヌホオズキ」のエピソードはほとんど見当たらない。あまり人との関係が深くないようである。雑草としては正しい生き方とも言える。まあ「ホオズキ」という大スターが隣にいるんだから、しょうがないか。

※追記2015.09.21/ちなみに「イヌホオズキ」は英語で"Black nightshade"で直訳すれば「黒い夜の陰」である。これはコミックスの「ゴルゴ13」の52巻の「象の檻」に出てくる諜報員のコードネームと同じだ。あー、すまん、酔っ払って書いているので盛大な「嘘」を書いてしまった。「イヌホオズキ」の英語表記の部分は合っている。ググってくれ。ビングってもいい←ところでこんな言葉ってあったっけ?すまん、酔っ払いの戯言だ。
写真:zassouneko
PR