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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

オオバコ/今そこにある危機

オオバコ(大葉子)/オオバコ科/オオバコ属
在来種 1年草 花期4〜9月 漢名:車前草

名前の由来は大きな葉を持つ小さな(可愛らしい)草という意味。深江輔仁「本草和名(918年)と源順「倭名類聚抄934年)に漢名(中国名)の「車前子(子は種の意味があると思うが)」という草に「和名於保波古(日本ではオホバコ=オオバコ)と呼ぶとある。まあ、この辺は中央(京都)が決めた名前であるので、地方へ行くとそれぞれの名称がついていたりするし、現在使われている名前でも地方の名前が採用されたりしている場合もある。

この草は人が往来する道にも生えてくる。ということは踏まれて強くなるという性質を持った「踏み跡植物」の一つである。それは漢名の「車前草」という名前にも表れている。車(牛車か馬車か荷車のことだろうと思う)が通るような場所でも生えている草だということである。ある人が日本の雑草界の「3大踏み跡雑草」を提唱していた。それによると「クサイ(別項2015.5.26)」「オオバコ」「カゼグサ」がTOP3の地位にあるという。

ところで下の写真を見ていただきたい。おそらく「ツボミオオバコ(蕾大葉子)」という北アメリカ原産の1年草の外来種だろう。岡山理科大学のHPに1980年代ごろから見かけるようになったということが2001年に報告されている。それから14年余り、私の近辺では在来種の「オオバコ」が少なくなり、その代わりに「ツボミオオバコ」が増えてきている。環境省の「要注意外来生物」には「ヘラオオバコ」という江戸時代末期に侵入したヨーロッパ原産の草が指定されている。こちらは見かけた記憶がないが。どうやら「ツボミオオバコ」が勢力を拡大しつつある現場を今見ているようである。

幼い頃に「オオバコ」で遊んだ記憶がある。友達同士で適当な茎をとって、それを交差させて引っ張りっこをするのだ。切れないで残った方がチャンピオンである。勝利のコツはいかに太くて強そうな茎を探しだすことにつきる。こんなたわいもないことに幼児は熱中するのである。今考えると「オオバコ」にとっては迷惑な話であっただろう。だけれどもその記憶があるからこそ、私には今の「オオバコ」に対して、かける言葉を持っている。わざわざ公表するようなものでもない。私と「オオバコ」だけの話だ。そうだな、まずは久しぶりと声をかけ、昔の出会いから会話を始めてみるか。年寄りの繰り言に付き合ってくれるだろう。

追記&訂正(2015.12.26)書き忘れていたが、秋になってから「オオバコ」の姿をよく見かけるようになった。どうやら「ツボミオオバコ」が咲き終わった後に「オオバコ」が盛んに生えてくるようである。両者とも共存して生き残る道を見つけたようだ。
写真:zassouneko
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