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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

オランダハッカ/世界中で人気者(葉の裏側に秘密あり)

オランダハッカ(阿蘭陀薄荷)/シソ科/ミント属
ヨーロッパ原産の帰化種 多年草 花期:6〜8月 別名:スペアミント、ミドリハッカ

江戸時代に栽培目的で輸入され、その後全国に帰化したという。最初におさえておきたいのは「ハッカ」と「ミント」の違いである。「ハッカ(薄荷)」は日本の在来種であるということだ。はっきりと在来種という記述は見つからなかったが、学名にニッポンと入り、英語ではjapanese mintと呼ばれるので在来種か史前帰化植物でいいんじゃないのかな。

「ハッカ」と「ミント類」との違いは油に含まれるスースーする成分(エル-メントール)の量でもわかる。ちょっと話が横道に逸れるが、「メントール」の清涼感を表現するのに「スースーする」では大人の威厳が出ないのでは思ったのだが、まあいいか。英語圏などはどう表現しているのだろうか。「cool!」って言うのかな。話を戻します。とにかく「ハッカ」はその成分(エル-メントール)を採れた油のなかに80%も含んでいるという。一方「ミント類」は40%ほどである。その代わり「ミント」には爽やかな香りの成分が含まれているということだ。「ハッカ」は成分の割合が多いので結晶化させることができ、それを「ハッカ脳」と呼ぶ。脳と言っても頭の中のアレではなく、中心となるものとか大事なとかの意味である。「それがキモだ!」という場合に、「それ」が実際の肝臓を意味するわけではないのと同じことです。「樟脳」という「クスノキ」から採れる油も、これと同じようなもので防虫に効果がある。「樟脳」も触ると清涼感があるらしいのだが、毒性があるので食用にはできない。また「ナフタリン」は化学合成物質なので「樟脳」とは関係ない。

漢字で「薄荷」とは漢名(中国語)をそのまま使っていて、「家薄荷」と書くと栽培種のことを指す。なぜ「薄い荷物」と書くのかというと、ハッカ油が少ししか抽出できないからだという。その量はだいたい2%と言われているので、100kgの葉から2kgのハッカ油が採れるわけである。つまり荷台に山盛りに積んで持ち込んだ葉も帰りには油となって、荷物も軽く薄くなっているところからきているという。ちょっと「薄い」の使い方に疑問が残る説明だが、中国語の持つ意味に違いがあるのかもしれない。
名前の由来は「オランダ」から来た「薄荷」だが、両方間違っていると思う(「オランダミミナグサ/2015.5.24参照」)。オランダ船に乗って運ばれてきたミントが正解だと思う。「スペアミント」の「スペア」は槍(spear)の意味で花穂の形を表しているという。下の写真を見ていただきたい。私には西洋の槍のイメージが湧いてこないのであるが、ここは素直に聞いておこう。「ペパーミント」の「ペパー」はペッパー(pepper)で胡椒とか唐辛子の意味があるが、何で「ペパー」というのかは不明、というか検索すると「アロマ」「健康」「美容」「リラックス」と目的外のページが多いので、途中で 挫けてしまったのだ。まあ、食べると辛いんじゃないのかな。知らんけど。あ、「ペパーミント」は「スペアミント」と「ウォーターミント」が自然交配して出来た種ということです。
左:オランダハッカ(スペアミント) 右:コショウハッカ(ペパーミント) 花のつき方が違います。
「ハッカ油」や「ミントオイル」を体に塗ると清涼感があるのは、皮膚にある冷たさを感じる受容体に刺激を与えることで脳に錯覚を起こさせているからで、実際に体温が下がったりはしない。特に夏の時期に使い方を誤ると事態の悪化を招くのでご注意を。

ミントの歴史は古く紀元前3千年以上ともいわれる。人類最初の栽培種ともいわれるほどだ。あまりにたくさんの種類とエピソードがあるので書く気が失せる。いわく古代ギリシャの、ピラミッドの、ミイラの、貴族の、などてんこ盛りである。そこまでの興味はない。

写真の「オランダハッカ」の葉からは、ミントの香りはほとんどしない。うっすらと香るぐらいだ。いい香りがするのは栽培種らしい。最後に、現在では身の周りに出回っている、ミントの香りの90%は化学合成されたものということです。
追記:「オランダハッカ/世界中で人気者(ただし栽培種に限る)」からタイトルを変えました(2015年8月14日)。ついこの前、空き地に大繁殖している「オランダハッカ」を見つけた。5枚ほど葉っぱを千切って匂いを嗅いだところ、強烈なハッカ臭がした。コツは葉っぱをよく揉むことと、葉っぱの匂いを嗅ぐのではなく手や指に着いた匂いを嗅いだ方がいい。葉っぱを直接嗅ぐと草っぽい匂いが邪魔をするからです。匂いの素になるハッカ油は葉っぱの裏についています。まあ食欲をそそるような香りではないけれど、清涼感はありそうだ。ついでに「大葉」の匂いの元も葉の裏に付いているので、水で念入りに洗うと取れてしまって香りが薄くなることがあるそうです。

また追記:2015年8月17日/一昨日、嫁さんといつもとは違うスーパーへ散歩を兼ねて出かけた。途中で「オランダハッカ」を見つけたので、さっそく千切って嫁さんに匂いを嗅がせてみた。「草臭い」の一言。ここで訂正する。やり方はこうだ。葉っぱの裏側を手の甲に、葉が傷つかないようにやさしく擦り付ける。1枚では匂いを強く感じないだろうから数枚を繰り返しやさしく擦り付ける。これで葉っぱの青臭さをあまり気にしないで「ハッカ」の匂いがつくはずだ。試してみてください。まあ多少、青臭くても「ドクダミ」や「ヘクソカズラ」の匂いにくらべれば何てこともない。
写真:zassouneko
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