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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

タネツケバナが教えてくれる

タネツケバナ(種漬花/種浸け花)/アブラナ科/タネツケバナ属
在来種 1年草 花期は3〜5月 別名:タガラシ(田辛子)

第一印象は「ナズナ(アブラナ科/ナズナ属)」に似ている。小さな白い花をもち、その下に種になる部分がある。「ナズナ」と違うのは種の部分が棒状で軽く湾曲して天を向いているところだ。また「ナズナ」の葉は根の付近に放射状に付いていることがほとんどだが、「タネツケバナ」は茎の上の方まで葉が出ている。以前はそういう種類の「ナズナ」だと思っていたが実は「タネツケバナ」という別の花だったのだ。科は同じだが。

名前の「種を漬(浸)ける花」とは何だろうか。この種を採って漬物でも作るのか思ったが、漬けるのは「種籾(たねもみ)」でした。稲の苗を育てる際に塩水の中に種籾を入れて、沈んだ種(良質な種)だけを選別するという作業がある。春先に行われるわけだが、その時期になると咲いている花なので「タネツケバナ」と呼ぶようになったという。「サナエタデ(2015.8.9記事)」と同じような理由で命名されたわけだ。春になって山の雪が溶け出し、残った雪や山肌が馬の形に見えるようになったら種を蒔くというのと似ている。自然の現象によって春の到来を知るのである。季節はカレンダーどおりには動かないからね。

自然現象(空、雲、風、太陽など)や生物の行動などから季節や天気を予測することを観天望気(かんてんぼうき)という。特に農業にとって季節や天気は重要である。「タネツケバナ」が咲いたから「そろそろ種籾の選別の準備を始めよう」というのは微笑ましくていいものだ。だいたい花が咲いたら悪いことなど起こるわけがない。あー、例外として「竹の花」があったか。
別名の「タガラシ(田辛子)」がよくわからない。同じアブラナ科に「カラシナ(辛子菜)」という種から辛子が採れる花があるが(ノゲシ参照)、こちらは「菜の花(アブラナ、ナタネ)」に似ており花も黄色である。「タネツケバナ」の種が辛子になるという話は聞いたことがない。おそらく「タネツケバナ」の種が「カラシナ」と似ていることから、この名前になったのではないだろうか。両者とも棒状で少し曲がって天を向いている。まあ「菜の花」もそうなんだけどね。

いつものことだが「タネツケバナ」にもたくさんの種類がある。小さいとか葉が大きいとか外来種とかいろいろだ。はっきりとは断言できないが在来種の「タネツケバナ」として書きました。

写真:zassouneko
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