ヒメツルソバ(姫蔓蕎麦)/タデ科/イヌタデ属
ヒマラヤ原産 明治時代中期に渡来 花期5〜11月 別名カンイタドリ、ポリゴナム
見かけは洋風なのに随分と和風の名前がついている。ロックガーデン(岩や砂やサボテン類を配置)の下草によく用いられるというオシャレな使命を与えられているというのに。やはり渡来時期が命名に影響したのだろう。民家の庭先でよく見かけるので、てっきり栽培種とばかり思っていたが至る所で繁殖している。調べてみたら1960年代にはすでに都会の帰化種となっていたようだ。
「ヒメツルソバ」は「ツルソバ」より小さくて可愛らしいという意味である。ピンク色の小さな花が集まって丸く咲いている様子はどこかシロツメクサを思わせる。検索した「ツルソバ」の写真と比べると、愛らしいのは分かるのだが似ているとはいえない。しかし似ていなくても「ツルソバ」と同じタデ科イヌタデ属である。けれど「ツルソバ」は「ソバ(タデ科ソバ属)」とは別の属だが、どういう訳だかよく似ている。「ツル」と付いているのは「ソバ」の葉と違って「ツルソバ」の葉はつる状に横に這うからだという。「ソバ」と比べると植物全体が斜めに成長しているように見えるが、地面に這っているわけではなさそうだ。そして、何が「ツル」なんだ? 「ツル」というとヒゲのようなものを想像するのだが見つけらない。「ヒメツルソバ」の別名は「カンイタドリ(寒虎杖)」とあるが、これまた「イタドリ(タデ科ソバカズラ属)」に似ていない。途中で違う属だということに気がついて「ヒメツルソバ」に改名したのではないか、確認はできなかったが。「アカマンマ」とも呼ばれる「イヌタデ(2015.5.26)」は長い穂にそって赤い実が直線的につくが、「ヒメツルソバ」は丸くつくと考えれば同じ「イヌタデ属」であるのもうなずける。
何だか一年中花が咲いていたような記憶がある。調べてみると「ヒメツルソバ」は、花が咲き終わってからも花の形や色がそのまま残り続けるという性質によるものらしい。どうりで真冬でもピンクが映えていたわけだ。土が凍結するような寒冷地以外なら枯れることはなく、また世話しないでも成長するという。なかなか重宝しそうな植物である。ものぐさな私にはぴったりだ、庭があればの話だけれど。
追加&訂正:2015.12.13/写真を追加しました。
写真:zassouneko