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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ヒメジョオン/自分の名前に困惑する

ヒメジョオン(姫女菀)/キク科/ムカシヨモギ属
北アメリカ原産の帰化植物で1年草。0.5〜1m。花期6〜10月。別名は柳葉姫菊(やなぎばひめぎく)

渡来した時期は「ハルジオン」より50年以上まえの1865年頃(江戸時代末期)で、観賞用とて導入されているが、数年後には早くも雑草化して全国に分布を広げている。「ヒメジョオン」の繁殖力は「1個体が4万以上の種をつくる」「種の寿命が35年」「再生能力が高い」「土壌を選ばない」という数々の能力にある。しかも薬剤に対する抵抗力もあるようだ。

(追記:2015年8月25日、写真を整理していて「ヒメジョオン」の写真を見つけたので、UPしました。残念ながら蟻がたかっているものしか見当たらなかった。申し訳ない。「ハルジオン」との違いは「ヒメジョオン」の方が花びらがまっすぐに揃っていること。「ハルジオン」はもっと花びらが細く、少し縮れたような感じです。それと葉のくっ付き方が違います。)

「ハル」「ヒメ」の後ろに「ジオン、シオン、ジョオン」のどれをくっ付けても、ありそうな名前になるところが混乱の一因である。名前の由来を書きたいのだが、おかしなことになっているのだ。通常なら「ヒメジョオン」なので「ヒメ(姫=小さく、可愛らしい)」と「ジョオン(女菀)」となるのだが、その「女菀」という植物が見当たらないのだ。もちろん「女苑」もだ。「苑」と「菀」に注意してください。これらは旧字・新字ではなく、別の字です。(iOS9.2で「えん」と打っても「 菀」は候補に出てきませんが、表示はできるようです。)。「姫女苑」と外見が似た植物は「紫菀(「ハルジオンと鬱/2015.6.9記事」を参照してください)」と似ている「姫紫菀(ヒメシオン/キク科シオン属)」しか見当たらない。だいいち「女」という文字を使う植物が見つからない。普通は「女」を使わず「雌」を使うことがほとんどだ。見つかったのは「オミナエシ(女郎花) ぐらいだ。

「女菀」を探していると中国のHPに見つかった。「菊科」とあるからキク科で間違いはない。本文の中国語を翻訳すると日本にも自生しているようである。花のイラストからすると、これは日本の「姫紫菀(ヒメシオン)」のようである。「女菀」は中国語であるので和名にしなければならないが、そうなると「姫女菀」は「姫(小さな)」+「女菀(和名は姫紫菀)」なので、結果「姫姫紫菀」になってしまう。名前の付け方としては間違っている。中国の「女菀」=日本の「姫紫菀」は共に、はるか昔から両国に自生している。よって新参者に名前を付けるのなら和名「姫紫菀(秋に咲く)」を参考にして「春之姫紫菀(春に咲く姫紫菀)」とでもする方が理にかなっている。

「ヒメジョオン(姫女菀)」は日本語+中国語である。「女菀」が日本に生えていないのならその名前でも問題はないだろう。ところが「女菀(中国語)」=「姫紫菀(日本語)」なのである。名前の付け方を間違ったのだ。誰かのブログに「この名前には関係者も困惑している」と書いてあった。関係者ではないがその気持ちはわかる。ちなみに「ヒメジョオン」は中国にも帰化植物として定着しており、「一年蓬」と呼ぶそうだ。中国の人は「ヒメジョオン」に対して「女菀」のイメージなど浮かばなかったのだろう。それは正しい判断だったと思われる。

写真が無いのは撮っていないからである。近所には「ハルジオン」しか見当たらないのだ。撮れたら貼ります。

写真:zassouneko
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