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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

カタバミは意外な所で人気者

カタバミ(片喰、酢漿草)/カタバミ科/カタバミ属
在来種 世界の温帯・熱帯に分布 花期は4〜10月 花は黄色で5弁

10世紀頃の日本の書物に酢漿草(サクショウソウ/中国の呼び名)は和名「加多波美」や「加太波美」とあります。「カタバミ」は日中両国に昔から自生していたわけです。酢漿草の酢は酸っぱい液体、漿は濃い液体の意味で、食べた際の味を素直に表現しています。酸っぱくなる原因の一つは、この草が「シュウ酸」を含んでいるからです。「シュウ酸(oxalic acid)」は200年以上前にカタバミ(oxalis)から単離された酸の一種で、名前もカタバミに因んでいます。シュウ酸の用途は塗料の原料や漂白剤で、人体には有毒です。ほうれん草のエグミや山芋が手について痒くなるのはシュウ酸が含まれているからです。科学的な裏付けはありませんが、大量に摂取し続けると結石などの病気の原因にもなるといわれています。まあ普通の食生活をおくっているのなら気にしなくてもよいでしょう。ただ「普通」の判断をするのは「自分」という問題は残りますが。
次は「カタバミ」の意味を探ってみます。漢字で「片喰(食)」「傍喰(食)」「片葉三」などと書きます。「片」は対になっているものの一方で、「喰」は食べるの意味です。「喰む」は「はむ」とも読み「牛が草を喰(は)む」などと言ったりします。「ばみ」は「はむ」→「ばむ」→「ばみ」と変化したのでしょう。「喰」の字を用いるのは「カタバミの葉は綺麗なハートの形をしており、そのくぼんだ部分を何者かに食べられたからだ」とありましたが、納得いきません。それでは「喰」の説明をしただけで「片」の説明をしていません。「丸い葉の頂点を囓ってハート形にする」というのも強引ですし、それを頂点と底辺を「どちらか片一方」という括りで対比させるのも変です。右辺と左辺を考慮に入れていません。

家紋としてデザインされた「カタバミ」は様々なパターンが存在し、人気も高いそうです。家紋のHPを見ていると「カタバミ」は「片葉三」からきているとの解説が載っています。「片葉」が三つあるという訳です。でも「片葉」と聞いても江戸の本所の七不思議「片葉の葦」しか思い浮かばない。何で「片葉」とわざわざ表現しているのだろうか。

他のHPで「カタバミ」が「オジギソウ」のような睡眠(就眠)運動を行うという記述を見つけた。あーそうだわ、「カタバミ」がそうなっているのを見た記憶がある。萎れたんだと思っていた。なんでも刺激や温度、日光などの影響が関係しているらしい。ハートの垂直線を谷折りにして葉を閉じるのだ。たまにハートの半分を切り取ってしまったような完全に閉じたような形にもなる。「開いていた本を閉じるように」といえばいいかな。これは葉の半分が食べられた形と言ってもいい。これが一番納得できる回答ではないだろうか。

(※ここより下を追記訂正しました)
「クローバー」はマメ科の植物で葉が3枚1組のものを指す(シロツメクサ、ウマゴヤシ等)。「四つ葉のクローバー」はシロツメクサでなくともいいわけだ。「カタバミ」も葉が3枚1組であるが、「クローバー」の仲間には入れてもらえない。アイルランドでは、これら葉が3枚1組の植物を「シャムロック」と呼ぶそうだ。キリスト教の布教に「三位一体」の象徴として利用されたという。話は変わるが、かなり以前に「へうげもの」という漫画の中で、時代劇であるにも関わらず唐突にハートのマークが登場したことがあったが、あれは「カタバミ」だったのか。今気がついたよ。
左上から時計回りに「アカカタバミ」「オッタチカタバミ」「ムラサキカタバミ」。左下は園芸種のカタバミで「レグネニー、トリアングラリス、トライアングラリス、フォルス・シャムロック、紫の舞」などといろいろな名前で呼ばれています。まだ名前とイメージが日本に定着していないようです。それにしても「紫の舞」という名前はどうなんでしょうかね。微妙な感じがします。「アカカタバミ」以外は外来種です。

追記&訂正:クローバーの定義を間違えていました。お詫びして訂正いたします。写真を追加しました。(2015.12.12)
写真&イラスト:zassouneko
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