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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ツユクサの夏

ツユクサ(露草)/ツユクサ科/ツユクサ属
在来種。1年草。花期は6〜9月。30〜50cm。別名ツキクサ、アオバナ、ボウシバナ、漢名は鴨跖草(オウセキソウ)。

名前の由来は「夏の朝に草葉におりた朝露が日が高くにつれて消えていくように、この花も小さくしぼんでしまうことから」という説と「朝露がたくさん残っていて目立つ」という説がある。前者は植物の機能、後者は構造上のことを指している。また前者は情緒的、後者は客観的な観察の結果ともいえる。

別名の「ツキクサ」は「月草」と表記し、万葉集や源氏物語などでも使われているようだ。「ツユクサ」に「月」の要素はあまり感じられないが、これは「月=着き」からきているという。「着き」とは、この花を使うと布がよく染まる(着色)からだという。花をいくつか摘んで、ぎゅっと絞れば、鮮やかな色水が簡単に手に入る。この色水は着物の柄の下絵を描く際に利用したという。簡単に水で落ちるから下絵の跡が残らないのである。
「アオバナ」は「青花」で見たまま。「ボウシバナ」は帽子のことだが、これは「烏帽子(えぼし)」のことを指しているのだろうか。関連するデータを見つけられなかったので何とも言えないが。そうであるなら花のすぐ下にある苞(ほう/ツユクサは二枚貝が少し口を開いたような形をしている)の部分の呼び名としては相応しい気がする。特徴ある形をしており、ひっくり返せば「烏帽子」と見えなくもない。この説では花の存在に一切触れていないので、その点が弱いところなのだが。

漢名の「鴨跖草(オウセキソウ)」は現代の辞書だと「カモ(鳥)の足の裏草」になる。うーん、分かるような分からんような、微妙だ。また「鴨跖草」はツユクサを漢方薬として使用する際の生薬の呼び名でもある。

滋賀県の草津市(温泉で有名なのは群馬県の草津町)の市の花は「アオバナ(ツユクサ)」である。これは草津市で「ツユクサ」の栽培が盛んだったことによる。もっとも栽培しているのは「ツユクサ」を改良して花をうんと大きくした「大帽子花」という品種である。アオバナを栽培する農家はかっては数百軒あったそうだが、現在は3軒を残すのみである。

イラスト:zassouneko
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