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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

オニタビラコ/春の七草と認めてほしい

オニタビラコ(鬼田平子)/キク科/オニタビラコ属
在来種 1〜越年草 20〜100cm  花期は5〜10月

「オニタビラコ」の「オニ」は「タビラコ」と比べて、大きく強く猛々しいという意味があります。「タビラコ」は「田平子」と表記し、田んぼに平たく葉を広げている姿から命名されました。「子」は小さいとか愛らしいという意味があります。その名の通りに田んぼの周りが主な生息地です。対して「オニタビラコ」はあらゆる場所に生えます。こう書くと「タビラコ」という植物があるように思うでしょうが、その名前を持った植物は存在していないのです。あるのはヤブタビラコ属の「コオニタビラコ」と「ヤブタビラコ」です。
上記の2枚の写真も「オニタビラコ」ですが、茎の色が違います。上の赤い茎のものを「アカオニタビラコ」、下の緑の茎を「アオオニタビラコ」と言うそうです。

「コオニタビラコ(小鬼田平子)」の名前の由来は「オニタビラコ」と比べて形は似ているが全体に小さいからということです。それはいいのですが元々の「タビラコ」はなぜ消えてしまったのでしょうか。

徒然草や源氏物語などの日本の古典には植物の名前がたくさん登場しますが「タビラコ」は見つけられませんでした。見つかったのは室町時代の「ななくさ(七草)草紙」に「たびらこ(略)佛の座とも云う」との記述です。また近いところでは1967年初版発行の学生版牧野植物図鑑には「たびらこ」と「おにたびらこ」が掲載されています。ということは、この後に「タビラコ→オニタビラコ」となったようです。何か分類学上の変更があったのかもしれません。春の七草の一つである「ホトケノザ」は現在では「コオニタビラコ」のことを指します。残念ながら「オニタビラコ」は春の七草には入れそうもありません。名前は似ているのですが。
追記&訂正:(2015.12.13)文章を一部追記、また写真を追加しました。
イラスト:zassouneko
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