忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

スズメノエンドウ/スズメとカラスの奇妙な関係

スズメノエンドウ(雀の豌豆)/マメ科/ソラマメ属
在来種 花期は4〜6月

写真がわかりづらいと思います。申し訳ありません。見やすいように草を動かそうとしても、ツルが絡み合っていてどうにもできませんでした。

「カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)」に比べると花や葉、豆など全てがずいぶんと小さい。花の色は白く(本当は薄紫だそうですが白にしか見えません)、米粒ほどの大きさしかありません。「カラス」に比べて小さいから「スズメ」と付いたわけですが、そもそも「カラスノエンドウ」と付いたのは、豆と莢(さや)が黒くなるからというのが理由です。ところが「スズメノエンドウ」も同じように黒くなります。そうなると色の関連からいえば「大ガラス」と「小ガラス」になりますから、「ヒメ(姫)カラスノエンドウ」とか「コ(小、子)カラスノエンドウ」とか「マメ(豆)カラスノエンドウ」と呼ぶのがふさわしいような気がします。この文章を書くにあたり、資料を色々と見ましたが、研究者や専門家の間では「カラスノエンドウ」とは呼ばず、「ヤハズエンドウ」とする方がデフォルトになっているようです。その理由はわかりません。上記の「カラス問題」が影響しているのでしょうか。
「カラスノエンドウ」を「ヤハズエンドウ」に改名してしまうと、何で「スズメノエンドウ」と呼ばれるのかという説明が必要になります。なぜなら「スズメ」は「カラス」に対応した名前ですからね。その関係性が無くなってしまうわけです。そうなってしまうと「スズメノエンドウ」という名が単独で成立している理由付けが必要になります。「カラス」「スズメ」は植物の名前によく使われており、外見が似ていても大きさが違うような植物を対比させるような意味で用いられます。鳥の名前が付いているのは、人が利用(食べる)するには小さ過ぎるが、体の小さな鳥なら満足できる大きさだろうとか、人が食べると不味いが鳥ならば喜んで食べるだろうという推測からきています。こういった理由なら「スズメ」と名付けても大丈夫そうです。ところが他にも問題が出てきました。

世間は広いもので、というか多様性に富んでいるというというべきか、「スズメノエンドウ」と「カラスノエンドウ」の中間に位置するようなマメ科の草があり、それには「カスマグサ」と名前がついています。「カラス」の「カ」と「スズメ」の「ス」と「間(マ)」です。両者の中間だからという理由で「カスマグサ」と名付けられては、植物本人が納得しないのではないでしょうか。少しなげやりな感じもします。しかも、この名前は「ヤハズエンドウ」ではなく「カラスノエンドウ」と呼ぶことが前提です。これでは「カスマグサ」のアイデンティティが定まりません。命名する際にもう少し考えてあげればと思いますが、そもそも和名は「大衆への周知」が目的ですから、時代に沿った名前が付けられることは避けられません。そういった名前を付けることで親近感が湧き、みんなに覚えてもらえますからね。ですから時代が変われば、意味が分からなくなるような名前もあるでしょう。人にもキラキラネーム問題が存在しますからね。どうなることやら。

写真:zassouneko
PR