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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

フラサバソウとオオイヌノフグリ/軍港に咲く可憐な花

フラサバソウ/オオバコ科/クワガタソウ属
帰化種 原産地は東アジアを除いたアジア、ヨーロッパ、北アフリカ 花期は2〜5月 別名:ツタバイヌフグリ
訂正:上記の写真は「オオイヌノフグリ」です。名前の由来は植物名を漢字で書くと「大犬の陰囊」となり、種の形がそう見えるからです。誤解されている方もいらっしゃるのではと老婆心ながら追記しますが、いわゆる金玉ではありません。それは睾丸です。玉+袋=陰囊です。ですから「タンタンタヌキの〜」の替え歌の部分は間違っています。そこは「陰囊」としなければなりませんが、子供にはちょっと難しい言葉のようですね。間違って歌っているのを耳にしたら、添削してあげるのが大人の親切というものです。ただ、言葉がやや難解で子供には面白くないので、歌うのを止めてしまうでしょう。「オオイヌノフグリ」はヨーロッパ原産の帰化植物で1887年に東京で確認されたとあります。明治の中頃ですかね。子供の頃から見ていますから、親しみのある草です。繁殖力が強いのか、今では全世界に分布しているようです。

いつものことですが、よく似た仲間が多いので種の同定が難しいのです。候補は次の顔ぶれで、いずれも「オオバコ科クワガタソウ属」です。
・「イヌノフグリ(在来種)」 花の色が薄いピンクなので、この草ではないでしょう。日本の在来種ですが、ほとんど見かけなくなったということです。
・「タチイヌノフグリ(外来種)」 花の周りに葉が密集して付くようなので、この草とも違う気がします。
・「オオイヌノフグリ(外来種)」 これが一番判断が難しい草です。ただ花の直径が1センチ前後になるそうなので、そうなると「フラサバソウ」の倍ぐらいの大きさです。しかし、花の大きさは個体差や環境によって簡単に変わりますので、それだけでは判断ができません。結局、冒頭の草を「フラサバソウ」としたのは花の形です。「オオイヌノフグリ」の4枚の花弁は「フラサバソウ」に比べて、よりくっついており、それぞれの隙間があまりないように思います。「フラサバソウ」は4枚の花弁がはっきりと別れているようです。この判断が正しいかどうかは自信がありませんが、とりあえず「フラサバソウ」にしました。
↑訂正:ここでいきなり間違えたようです。下の写真が「フラサバソウ」だと思います。お詫びして訂正します。申し訳ありません。取り敢えず間違った推理の過程を記載しておくことにします。「フラサバソウ」は全体的に小さく毛がたくさん生えています。小さすぎるので、花の形がどうなっているかなど、私には観察できません。
上がフラサバソウ。見にくくて申し訳ないです。下:オオイヌノフグリ

「フラサバソウ」と聞いて、どんな漢字をあてるのだろうかと考えていましたが、漢字表記は出来ないのです。つけるとしたら、別名の「蔦葉犬陰囊(ツタバイヌノフグリ)」にするしかありません。なぜなら「フラサバ」とは人名で、それも2人分です。フランス人のサバティエさんが江戸末期から明治の初めに日本を訪れ、その時に採集した植物をフランスに持ち帰って、フランシェさんと一緒に「日本植物目録」を発表します。その中にこの植物も載っていたので、和名を「フラ(ンシェ)+サバ(ティエ)」としたようです。
この草はサバティエさんが日本に来た頃に入ってきた外来種なのですが、日本人より先にフランス人が発見したようです。日本にやって来たサバティエさんは横須賀造船所の医師として来日したとあります。幕末に鎖国から開国へと一気に舵を切った日本が、本土防衛のために軍備を拡張します。日本は島国ですから特に軍艦の建造が急務です。先ずは造船所を建設しなければいけませんが、その地に選ばれたのが横須賀です。まあ、いきなり軍艦は作れませんから最初は完成品を輸入したのですが、保守や整備や技術を獲得する必要がありますので、日本にない物資の輸入は増えます。そうした貿易を通して運ばれた荷物に紛れこんで侵入した植物が、最初に開花する場所である可能性は高いでしょう。つまり、侵入した花をいち早く見つけられる場所でもあるというわけです。
東片端の交差点の北西で撮影。中央下から左右にかけて、たくさんの小さな葉をつけた草は「スズメノエンドウ」だと思われます。
訂正:当然これも「オオイヌノフグリ」です。やはり写真をモニター上であれこれ比較するだけでは限界があるようです。実物を見比べないといけませんね。反省しきりです。

まあ、ちょっと変な名前だなとは思います。普通は花の特徴や来歴、また他の種との関係が想像できるような名前をつけるのが一般的です。他の仲間が「〜イヌノフグリ」で統一しているのに、いきなり「フラサバ」ですからね。これでは「タキツバ」や「チャゲアス」と同じです。

写真:zassouneko
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