忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ヤエムグラ/不思議な触感を体験してみてください

ヤエムグラ(八重葎)/アカネ科/ヤエムグラ属
在来種 1〜多年草 花期は5〜6月 高さは60〜90センチにまで成長する。 成熟した種は、衣服などにくっつく、いわゆる「くっつき(ひっつき)虫」となる。
成長途中の「ヤエムグラ」。葉の先端に棘があります。

「ヤエ(八重)」はたくさん重なっているという意味で、花弁がたくさんつく桜を「八重桜(ヤエザクラ)」と呼んだりします。この草は放射状の葉が何段にも重なっていることから「ヤエ」と付けられたわけです。また「ムグラ(葎)」とは密生して繁殖し、藪(ヤブ)を作る植物のことを言います。

日本に古くからある草で、源氏物語にも「月影ばかりぞ、やへむぐらにもさはらずさし入りたる」とあります。「雑草」などという言葉は平安の頃には なかったので、その代わりとして「ヤエムグラ」という言葉で表現していたようです。残念ながら古典にあらわれる「ヤエムグラ」とは、ここで紹介している「ヤエムグラ」ではなく、「カナムグラ(金葎)/クワ科/カラハナソウ属」のことだと言われています。千葉県立中央博物館のHPには「ムグラは棘があるつる性の植物のことをいう」と解説があります。 「金葎」の「金」は金属のように硬く丈夫な草という意味があり、駆除が難しい迷惑な雑草です。迷惑ついでにもう一つ挙げますと、「カナムグラ」は秋に花粉症を引き起こす植物の一つであるということです。「ヤエムグラ」は平安時代の和歌や古典文学の中では活躍できませんでしたが、当時の庭に必ず生えていたことでしょう。「カナムグラ」というスターを支える名脇役といったところでしょうか。
群生する「ヤエムグラ」。東区の市政資料館の北側で撮影。

葉の先端が針のように尖っていますが、さほど痛いわけではありません。茎の断面は丸みを帯びた四角形で、草全体が細かな毛に覆われています。この草は実際に触ってみるのがオススメです。手のひらで全体を包み込むように触れると、くっついてくるような感じがします。例えるならポストイットの糊のついた面に触れているような感じです。何かベタベタしたものを感じます。それでいて手には何も付着していません。なんとも不思議な感覚です。そう感じるのは私だけかもしれませんが、試してみてください。
雑草とはいえ花も咲きます。この文章も3月の中頃には書き終わっていたのですが、花が咲いているところを撮影したかったのでなかなかアップが出来ませんでした。それにしても注意して眺めないと見過ごしてしまうほど小さな花です。

写真:zassouneko
PR