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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ミチタネツケバナ/新参者が生き残る術

ミチタネツケグサ(道種漬花)/アブラナ科/タネツケバナ属
ヨーロッパ原産の外来種(1992年に侵入を確認) 越年草 花期は2〜4月 上の写真の花が付いている茎の高さは10センチぐらい。花の直径は4〜5ミリほど。背丈は低く、一つの軸に丸っこい葉が並んでいるのが特徴である。

「タネツケバナ(2015.8.10)」にも書いたが、「種漬花」とは、春先に稲を植えるための下準備として、種籾を塩水の中に入れて選別(底に沈む比重の重い種が良い種である)する作業があるが、その時期になると咲きだす花であることから、この名がついた。「ミチタネツケバナ」は1992年に初めて公式に確認されているので、そうなると侵入はごく最近である。生き物の輸入は昔に比べて厳しい監視の元にあるが、それでも侵入を防ぐことは難しい。

「ミチタネツケバナ」とは道に咲く「タネツケバナ」という意味である。ということは本来の「タネツケバナ」は道には生えないということになる。では本来の「タネツケバナ」はどこに咲くのかと言うと、水田の周りのような湿った場所に咲くのである。また、そうでなければ「農家に種漬けの作業の時期を教える」という命名の理由が成り立ちにくいのだ。なぜなら、その時期に咲く花は他にいくらでもあるが、この花だけが「種漬けの時期」と結びついたのは、水田の近くに生えている植物だからである。つまり水田近くの気温などの環境が整ってきたことを、身をもって知らせてくれているのである。人が作った暦は大体の目安にはなるが、気候(自然)は年によって違うのである。その辺は観天望気(かんてんぼうき)で検索していただきたい。

「ミチタネツケバナ」とは、これまた一方的な命名である。原っぱにだって生えるだろうに。水田の周りに生える「タネツケバナと対比させて、あえて「道」としたのだろうか。「ノハラ(野原)タネツケバナ」などと名付けてしまうと、他の「タネツケバナ」から「野原を独占するな」と文句が出るだろうし。
ヨーロッパや東アジア原産で、1992年に宮城から日本海側にかけての地域で、初めて侵入が確認されたとある。またずいぶんと寒い地方から侵入してきたものだ。あるサイトによれば、開花時期は2月からということなので、寒さには強いのだろう。他の植物たちが眠っているうちに、いち早く活動を始めている。もっとも、そんな早い時期から花が咲くようでは、農家のスケジュールが狂ってしまう。やはり道で咲いている方が似合っている。

情報の少ない雑草である。比較的最近になって侵入が確認されているせいか(それでも20年以上は経っているが)、環境省の要注意外来種リストにもWikiにも項目がなかった。外来生物リストには載っていたから、それほど他の植物に与える被害は大きくないのかもしれない。だが猛烈な勢いで分布を拡大しているのは間違いないだろう。この近辺では、よく見かける。まだ寒い季節なので植物の数もそれほど多くはないが、そこが新参者にとっての狙いどころだろう。在来種の「ホトケノザ」や「ナズナ」などと静かな争いを繰り広げているようだ。
追記(2016.3.10):改めて写真を見ていると食えそうな気がしないでもない。世界最高峰の評価(これはどっかのサイトで見た。「カラパイア」だったかな。)を付けた「クレソン(オランダガラシ)」に外見は似ている。同じアブラナ科でもあるし。

写真:zassouneko
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