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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

マツヨイグサとツキミソウはどこが違うのか

マツヨイグサ(待宵草)ツキミソウ(月見草)/アカバナ科/マツヨイグサ属
アメリカ大陸原産の帰化種。多年草で花期は春から秋。夕方から開花し朝になると萎む。
 
風流な名前がついてはいるが明治以降に渡来した外来種である。いくつもの品種が帰化しており「要注意外来生物」に指定されている種もある。これらは牧草や荷物などに紛れ込んでの非意図的な侵入ではなく、すべて観賞用としての輸入である。この「マツヨイグサ」が全国に広まったのは、「夜に咲く花」という珍しい特徴を持っていたからだろう。
 
プロ野球のある監督が、スター選手と自分とを比較して「ヒマワリとツキミソウ」と発言したという話は有名だろう。その話を世間は自嘲的と捉えており、話をした当人も愚痴っぽい口調だったようだ。だが、夕方から咲く「ツキミソウ」はむしろナイトゲームにぴったりの表現ではないか。少なくとも試合の間は開花しており、萎んでいるわけではないのだから。こういった「日向、日陰」「日の当たる、当たらない」といった人間の価値観を一方的に押し付けられる植物の方こそいい迷惑である。
 
ところで「ツキミソウ」というと、角川書店発行の「怪(vol.0039/2013.7.31)」というムック本に面白い話が載っていた。舞台は岩手県の岩泉(龍泉洞で有名。世界遺産で有名な平泉ではない。私は勘違いした。)。盛岡の東にある山の中の町である。昔、岩泉と鼠入(そいり/岩泉の南にある地)の住民の間で村の境界線争いが起こった。争いは理不尽な方法で決着がついたのだが、それに怒った鼠入の指導者が境界線に牛と鶏を生き埋めにして呪いをかけたという。それ以来、夜にその場所を通ると、どこからか埋められた動物たちの声が聞こえるという。その辺りは土が肥沃でよい作物が育つのだが、祟りをおそれた農民たちは、収穫した作物を自分たちで食べることをせず、全てを売りに出したという。元号が明治に変わる頃、呪われた地に見たこともない花が現れた。しかも夜に咲くのである。当然、人々は怖れおののいた。だが分校に赴任してきた教師が謎を解いた。花は「ツキミソウ」だったのだ。
 
今でも岩泉に行けば境界争いの現場(詳しい地点まで)などを見ることができるという。もちろん呪われた場所もである。iOSのグーグルマップで、「鼠入(そいり)」は出ます。けれど道以外の情報は ありません。アップルの方は検索もできません。情報の空白地帯です。
上の写真は「コマツヨイグサ(小待宵草)」。園芸種と思われる。
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