マツヨイグサ(待宵草)/アカバナ科/マツヨイグサ属
アメリカ大陸原産の帰化種 1年草 「◯◯マツヨイグサ」とつくのは全て外来種です。
冒頭の写真は海外の無料画像サイト(日本版)から「月見草」で検索したもの。「マツヨイグサ」で検索しても同じものが出てきました。「待宵草」ではヒットしません。どんなワードを「タグ」に登録しているのか、ちょっと興味があります。写真の花は「オオマツヨイグサ(大待宵草)」か「マツヨイグサ(待宵草)」だと思いますが。
まず最初に。「ツキミソウ」は日本に帰化できなかったようです。植物園や業者、愛好家などが「栽培」はしてはいますが、我々が日常生活の中で目にすることはないはずです。海外の人に「日本にパンダはいるのか?」と聞かれたら「いるよ、動物園に」と普通は答えるでしょう。日本の野山にパンダはいないことを皆知っているからです。ところが「ツキミソウ」は存在していると勘違いしています。しかも別の花を「ツキミソウ」だと思い込んでいるのです。
覚えておいていただきたいのは「ツキミソウ(月見草)」の花の色は「白」だということです。「黄色」ではありません。さて、あなたがイメージする「ツキミソウ」の花は何色ですか?
慶應義塾大学が公開している「明治前園芸植物渡来年表(※下記参照)」に「ツキミソウ」は1847年に渡来とあります。「マツヨイグサ」は1851年です。いずれもオランダを通じて持ち込まれたようです。まあ、その当時に交易していたのはオランダだけでしたので当然ですが。その年表に「(ツキミソウは)京都で待宵草、花戸では宵待草・夕化粧と称したという」と書いてあります。すでに名前がばらばらです。
今は「ユウゲショウ(夕化粧)」というと、この花のことです。
ここで補足を。「京都で待宵草、花戸で云々」ですが、いけずな京都が「月見草」では満足できず「待宵草」と呼んだ、というのは分かるような気がします。京都を「いけず」と揶揄していますが、そこが千年近く都であったことや、そのため文化の中心地を自負していることは理解しているつもりです。実際に「月見草」という直接的な表現より「待宵草」の方が「趣(おもむき)」があるような気がします。
話を戻します。「京都」に続けて「花戸では」とありますがちょっと解説が必要です。前に「京都」とありますから、てっきり地名だと思っていましたが違うようです。これは「はなど」ではなく「かこ」と読むそうで、植木職人のことです。植木職人といっても当時は栽培も担当しており「ソメイヨシノ」を作り出したのも彼らです。その植木職人は「宵待草(宵と待と位置が京都とは違います)」「夕化粧」と呼んだのです。京都に対抗したんでしょうかね。いずれにしろ、一つの花にいくつもの名前があることになります。
(※)この書名で検索すればすぐ出てきます。ダウンロードしてiBooksにPDFで保存しておけば、オフラインでも見られますので便利です(iPadの場合。すいませんね、他のOSは知らないのです)。身近な野菜、例えば「大根」「小豆」「大豆」は8世紀の初期に渡来したと分かります。とても面白いです。
写真:zassouneko