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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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ツユクサ/夏の朝の郷愁

ツユクサ(露草)/ツユクサ科/ツユクサ属
在来種 1年草 花期は6〜10月

夏といえども早朝は涼しい。朝露が降りていっそう瑞々しさを増した緑の葉陰に、鮮やかなブルーの花が控えめに顔をのぞかせている。見上げれば一面の青空の中に重そうな体を持て余した入道雲が湧き上がっている。まるで示し合わせたかのように、鮮やかな青が天と地にある。今日も暑くなりそうだ。

などという幼少時の半ば美化された記憶は、現在の街中ではいささかも追体験することはできない。ヒートアイランド化した街は1日中暑く、朝露の存在を許さない。雑草と認定された「ツユクサ」は緑地帯や公園の隅に追いやられ、高い建物に分断された空からは深さと雄大さが失われた。けれども、露草の青だけは昔と変わらない。
夏の朝の花と言えば「アサガオ」と「ツユクサ」だろう。早起きした者だけが、その花を見ることができる。いわば早起きの「ご褒美」である。ところが最近の「アサガオ」は一日中咲いている。その「アサガオ」のほとんどは外国産の園芸種(古来のアサガオは山中にひっそりと自生しているという)で、どうせ咲かせるのなら長い時間花を楽しみたいという需要に応えたものだ。それを責めるわけではないが、これでは「朝顔」という名前が意味を成さない気がする。

今、「朝の花」の地位を守っているのは「ツユクサ」だけである。小さいけれども目を引く鮮やかな青い花は日本の夏の朝の風物詩だろう。すぐに萎んでしまう小さな花はどこか弱々しく見えるが、他の雑草に囲まれながらも街中で自生できている。つまり丈夫なのである。
外来種の「ツユクサ」もいくつか帰化しているが、在来種と比べて花の色や全体の形が違っているので見分けるのは容易である。ところが最近になって、在来種とよく似ている「カロライナツユクサ」が帰化していると確認された。四国で採取したものをアメリカに送り、そこで種を同定したようだ。名古屋にも侵入している可能性がある。

1本ずつ生えているように見えるが、茎の部分は地表を長く這い、そこから新しい茎をいくつも立ち上げている。試しに「ツユクサ」を1本引き抜くと芋づる式に何本もついてくる。
「ツユクサ」の若い葉は食べることができるという。実際、若葉の手触りは柔らかく、サラダ菜のような感じがする。「ツユクサ」をいろいろと検索していると、細かく刻んでケーキに入れたという記事を見つけた。残念ながら味も匂いも無いということで配偶者には不評だったようである。でも逆にいうとエグ味がなく食べられるということではないだろうか。

写真:zassouneko
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