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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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ツボクサ/ある日突然ヒーローに

ツボクサ(壺草・坪草)/セリ科/ツボクサ属
在来種 多年草 花期は5〜8月(注意:写真はカキドオシです)
「kisaji」さんより「カキドオシではないか」というご指摘をいただきました(2016.10.24)。調べてみるとどうやら「カキドオシ」のようです。間違えました。写真は無視していただけると有難いです。近いうちに写真を削除し、「カキドオシ」の記事を載せたいと思います。ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。
「ツボクサ」の「壺」「坪」には「庭」の意味があるという。宮内(皇居の中)では四方を建物や塀で囲まれた庭を「壺」と表現するとあった。また「坪」は土地の広さの単位でもあるが、字を見ると「土偏に平らで坪」である。平らでなければ家は建てられない。「ツボクサ」は庭などの平らな場所に生える草という意味だろう。
葉は向かい合ってついており(対生)、茎の節から根をのばし地面を這う。下が土なら根を使って固定できるが、それがコンクリートではそうもいかないので、結果「つる」のように見えてしまう。葉の周囲、鋸葉は穏やかで規則正しく並び先端は丸く、幅は1〜5㎝といったところである(上の写真参照)。私がいつも参考にしているサイト(6つほどある)でも、この草を取り上げているのは半分しかなかった。漢方薬のサイトにも見当たらない。まあ、なんてことはない雑草だろう。あまりにもネタがないのでグーグルで検索をかけてみた。そうしたら「オススメ商品」が怒涛のように押し寄せてきた。いずれも健康食品、サプリである。そんなにブームになっていたのか。
検索のトップ近くのサイトを見ると「WHO(世界保健機関)が認めた」とある。「NAVERまとめ」には「WHOが21世紀の驚異的薬草と位置づけ」との煽り文句がある。これはいいネタを見つけたと思ったのだが、肝心のソースが見当たらない。見つけたのは「医療費がかさむので健康維持にはハーブなどを活用しよう」という意味の記述だけだ。そこにはハーブ植物の名前は載っていなかった。
また「コトバンク(朝日新聞)」に「食の医学館/薬草治療は世界の潮流」という項目があるが、その中に「WHOも現代医療による治療の方針を転換し薬草を主体とする伝統医療を重視云々」とある。「インドのアーユルヴェーダ」や「イギリスのホメオパシー」、続けて「シャーマンに薬草を用いた治療法を教えて現地医療に活用」とある。主張がよく分からないが、どうやら主に途上国向けの方針のようである。西洋医学の高価な治療薬を使わずに、似たような効果が期待される現地にある薬草を使って経費の削減をしようということではないでしょうか。薬の現地調達ですかね。 WHOは人類の健康のために邁進(?)している組織だが、原理主義的な面も見える。WHOが長年続けてきた「タバコ」との戦いは、殲滅には至らなかったが一定の成果はあげたようだ。ところで、10年以上昔の話なので真偽は確かではないが、WHOの次のターゲットは「電磁波」だそうである。なんでも当時の事務局長が「電磁波嫌い」ということらしい。どうなったのかな。
なかなか「WHOの伝統医療への転換」のソースは見つかりませんが、「WHOの代替医療に関するガイドライン」はありました。ざっと読んでみると「代替医療」の規制が不十分で「有害事象」が多く発生しているので、信頼できるガイドラインを作成しようということのようです。西洋医学の薬品は製薬会社が作っており品質は一定ですが、薬草の類いは植物の個体差もあるし似ている植物も多いですからね。まるっきり違う植物だったとしても、所詮は乾燥した根や葉ですから消費者には判別がつきにくい。 
「ツボクサ」に関する騒ぎのきっかけの一つはタイの「コンケン大学」が発表した研究が元のようだ。タイでは「バイブアボック(=ツボクサ/日本のものと同じとは限らない)」は古くから利用されていたので、それを大学で調査をしたようだ。年配者に「バイブアボック」を食べてもらった結果、認知機能の改善がみられたということらしいが、当然、この話のソースも見当たらない。以上を整頓すると「ハーブで健康維持を/WHO」→「バイブアボックもハーブだ(セリ科)」→「バイブアボックが認知機能に有効らしい」→「バイブアボックはツボクサだ」→「大騒ぎ」という流れのようだ。ネットでは「○産が効く」とか「いや、○産が本場だ」とか、熱心なことである。中には個人で現地の「ツボクサ」を輸入して栽培している者もいる。また外来種が増えるな。
この流れは世界的なようで、検索すると「ツボクサ(種類はいろいろ)」のサプリをたくさん見かける。その中にはなかなか面白いサイトもある。あるサイトはインドの「ツボクサ」を紹介しており、そこでは「バコパ」「ゴツゴラ」という名で呼んでいる。内容は「インドでは第7のチャクラが開くといわれており」「モルモットの実験だと脳細胞が7倍に増えた」「抗酸化作用があり老化を防ぐ」「WHOで世界で最も重要で保護すべき薬草の一つとした」とある。素晴らしいですね。製薬会社は遅れをとっていますよ(笑)。まあ、オカルトとサプリは重なる部分を持っているということでしょうかね。客層も重なっていそうですが。 

写真が間違っていました。お詫び申し上げます。では肝心の「ツボクサ」はどんな姿なのかというと、色はくすんだ緑色で「フキの葉」の形に似ている感じがします。
追加&訂正(2016.11.20):文章を一部追加、削除しました。冒頭の写真は「カキドオシ」です。文章だけだと寂しいのでイメージとして残しました。
写真:zassouneko
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