アメリカアサガオ(亜米利加朝顔)/ヒルガオ科/サツマイモ属
熱帯アメリカ原産の帰化種 つる性 1年草 花期は8〜10月
9月の暑い最中に、小さなピンク色のアサガオを空き地で見つけた。花も葉も小ぶりで、よく見かけるアサガオのミニチュア版といった感じだ。「アメリカアサガオ」のような気がする。ブログでもまだ取り上げていないので、新しいネタができたと思ったが、昼過ぎの炎天の下、花は萎んでしまっていた。一応写真には収めたのだが、花が咲いていない状態では記事として説得力に欠けるし、絵面としても地味である。咲いている花の写真が撮れたら記事を書くことにした。しかし、1週間後に再び訪れてみると、どうやら人の手が入ったらしく、「アメリカアサガオ」は消えていた。せっかく見つけたのに再訪したら刈り取られていたというのは雑草観察にはよくあるパターンである。残念だが致し方ない。そんなこんなで秋に入る頃には「アメリカアサガオ」のことなどすっかり忘れてしまっていた。
ところが最近になって、ちょくちょく見かけるようになった。去年まではほとんど目にすることはなかったが今年になってからやけに目につく。もう11月だというのにおかしなこともあるものだ。ひょっとして猛暑のせいか。冒頭の写真の撮影場所は新栄と名古屋城の近く、すぐ上の2枚の写真は名鉄瀬戸線の清水駅の近くである。
「アメリカアサガオ」とよく似た「マルバアメリカアサガオ」というのもある。葉がハートのような形なので「マルバ(丸葉)」と呼ぶ。上の写真のアサガオはプランターに植わっていたので、園芸種かもしれない。葉の形は「マルバ」っぽい気がする。
「アメリカアサガオ」は江戸末期に観賞用として渡来したという説がある。「朝顔市」に代表されるように日本人は昔からアサガオが大好きなので、その時期に輸入されたとしてもおかしくはないが、確かなことは不明である。次の記録は1907年発行の「増訂 草木図譜/牧野富太郎」である。記載があるから存在は確実だろうが、すでに帰化しているという報告ではなく、「こんな朝顔もある」という紹介のようなものらしい。実際に帰化が確認されたのは1950年頃で、戦後にアメリカから来た物資にまぎれて渡来したらしい。下の「マメアサガオ」も1955年に東京で帰化が確認されたというから、この2種のちびっ子朝顔はほぼ同時期に日本にやって来たことになる。まあ、「旅は道連れ」ともいうからなあ。
「マメアサガオ」。北アメリカ原産。「アメリカアサガオ」より花は小さい。「北アメリカ原産」だと緯度はさほど変わらないので日本に馴染んでもおかしくはない気がするが、「アメリカアサガオ」のように「熱帯アメリカ原産」とか聞くと、日本に適応しているのが不思議な気がする。帰化種の原産地を見ていると、こういった例がよくある。日本だと北でも熱帯のものでも、どっちも育つんかーい。どんだけ居心地がいいのやら。
写真:zassouneko