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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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アリッサム/ナズナの仲間たち/その1

アリッサム/アブラナ科/ニワナズナ属
地中海沿岸原産の園芸種 1年草 和名:ニワナズナ(庭薺)学名:Lobularia

帰化したというデータがないので園芸種である。ここは一応は「雑草ブログ」なので園芸種は基本的には取り上げない。だが「ナズナ」の仲間でもあることだし、ちょっと面白そうなので記事を書くことにした。

「アリッサム」は1862年(文久2)に遣欧使節団がヨーロッパから種子を持ち帰ったという記述がある。おそらく、これが最初の渡来だろう。この使節団は、日本国内がゴタゴタ(幕末期の混乱)しているので、開国(条約の締結)の延長を交渉するために派遣されたものだ。せっかくヨーロッパに来たのだから帰国する際にお土産をしこたま仕入れたのだろう。ほぼ同時期にアメリカにも派遣しており、両者とも数多くの種子を持ち帰っている。まあ、工業製品の方が主だったと思うし、お土産じゃなく輸入なのであるが。

上の写真の紫の花は「ツルニチニチソウ」。周囲に見えている葉も全部そうである。「ニワナズナ」は園芸種なのだが、これを見ると勝手に生えてきたようにも思える。なお冒頭の写真は花壇で栽培されていたものを撮影した。立派に育っている。

「ニワナズナ」という和名がついているのは、渡来したのが古い時代(150年以上前)だったからだろう。昔は律儀に和名をつけていたのである。大体「アリッサム」より「ニワナズナ」と呼ぶ方が植物同士の関係性が理解しやすいのだ。「ニワナズナ」という名前と花の色や形から「ナズナ」と縁戚であることが一目瞭然ではないか。残念ながら現在では「ニワナズナ」と呼ぶ人はほとんどおらず、オシャレな名前の「アリッサム」の方を使うのである。ところが、この名前はいささか問題があるのだ。

この植物は以前は「ミヤマナズナ属(Alyssum)」に分類されていたので「アリッサム」という名前で呼ばれるようになった。ところが、途中で「ニワナズナ属(Lobularia)」に訂正されたのだが、名前の変更までには至らなかったようだ。「アリッサム」を固有名詞だと強弁すれば済む話かもしれないが、結果としては誤解を招く名前が残ることになった。とっとと変更すればいいのにと思う。普通に「ニワナズナ」と呼べば何も問題はないのである。

花が上に集まっているから種はどうなのかなと思ったが、意外と「ナズナ」のような形をしている。やっぱり「ナズナ」の仲間である。

「アリッサム」からは「アリス」という言葉が連想される。そうなると「少女」「おとぎ話」「魔法」と何やらメルヘンチックなイメージがする。また、白い可憐な花がこれらの想像を後押しする。ところが「Alyssum」はギリシャ語で「a=否定」+「lyssa=狂犬病」の意味があるという。昔はこの植物が狂犬病を防ぐと考えられていたからだ。これではオシャレな要素はどこにも見当たらないのである。

追記&訂正:写真と文章を一部追加しました(2017.3.17)
写真:zassouneko
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