新年早々に「ハコベ(ナデシコ科ハコベ属)」の花が咲いているのを見つけた(2枚目の写真)。なんだか春の訪れを感じさせるが、まだ当分は寒い冬である。春はまだ遠い。それはそうと「ハコベ属」の見分け方である。町中で見かける種を紹介します。「サワ(沢)ハコベ」「ミヤマ(深山)ハコベ」は見たこともありませんし町中には生えていないので無視しました。
まず「ハコベ属」の花は5弁であるが真ん中に深い切れ込みがあるので花弁が10枚あるように見える。また、花の直径は5㎜ほどである。萼(ガク)の大きさは花と同じぐらいか長くなる。そして葉は対生である。ちなみに、ここで紹介している植物はすべて「ナデシコ科」である。では写真を。
「ミドリハコベ/上の写真」。名前通りに全体が緑であるが、まれに茎に色がつく。雄しべの本数は5〜10。花柱(子房と柱頭の間/雌しべの上の方)は3つに分かれる。全体が青々として、いかにも野菜という感じがする。七草粥に入る資格はあるだろう。以前はペットの鳥の餌にしたというが、スズメなどが食べているのを見たことがない。これからはもっと注意して観察することにしよう。
「コハコベ/上の写真」。「ミドリハコベ」とよく似ているが茎が暗紫色をしている。まれに全身が緑のものがあるそうだ。ややこしい。雄しべの本数は3〜5。花柱は3。(1月3日撮影)
「ウシハコベ/上の写真」かと思ったが「コハコベ」のようだ。花柱が3つ、花の真ん中に小さく見える。0時、4時、8時の位置に3つの花柱がある。「ウシハコベ」なら、それが5つで雄しべは10本である。また「ウシハコベ」は他と比べて大きく、草丈は50㎝ほどになる。
「オランダミミナグサ(ミミナグサ属)/上の写真」。「ハコベ属」ではない。花に切れ込みはあるが浅く、萼の大きさは花びらの3分の2〜半分ほど。茎は暗紫色、また全身に毛があり、地面を這わずに上にのびる。葉は反り返り、色は「ハコベ属」と比べて薄く、黄緑色といったところだ。この「オランダミミナグサ」、いつ見ても花が開いていない。ほとんどが三分咲きか閉じている状態だ。だから上の写真はちょっと珍しい。
また「オランダミミナグサ」に似ているが、萼が花弁より長いものは在来種の「ミミナグサ」、花の切れ込みが深く全体が細めだと「ノミノフスマ(ハコベ属)」の可能性がある。これらの花を実際に見たことがないのでちょっと適当ですが。
続けて間違えやすい小さな白い花をいくつか。以下に紹介する花は花弁に切れ込みがありません。
「ノミノツヅリ(ノミノツヅリ属)/上の写真」。花に切れ込みはない。萼の大きさは花びらより大きい。ちょっと見にくいと思うが右下の花から萼が飛び出ているのが分かる。
「ツメクサ(ツメクサ属)/上の写真」。「ハコベ属」より小さくて地面を這うようにのびる。葉は「鳥の爪」のように細い。花に切れ込みはなく萼の大きさは花びらと同じ。花も萼も丸みを帯びている。
御多分に洩れずというか案の定というか、この「ツメクサ(爪草)」の仲間にも外来種がいる。関東以北の寒い地域に帰化している「アライトツメクサ」と、ヨーロッパ原産の「イトツメクサ」「ノハラツメクサ」である。上の写真と違うようであれば外来種の「ツメクサ」だろう。話は逸れるが「ツメクサ」で検索をすると「ツメクサ=詰草」も引っかかるので何かと面倒だ。「詰草」はマメ科である。「シロツメクサ」がよく知られている。
写真:zassouneko