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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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オオイヌノフグリはオオバコ科クワガタソウ属/クワガタムシは、なぜ「鍬形虫」なのか?

「クワガタムシ」のツノ(顎)は、どう見ても「鎌」である。

上から「オオイヌノフグリ」、「フラサバソウ」、「タチイヌノフグリ」。だんだんと花が小さくなる。

この界隈で見つかるオオバコ科クワガタソウ属の植物といえば「オオイヌノフグリ」「タチイヌノフグリ」「フラサバソウ」の3種である。これらが「オオバコ科」なのが少し意外な気がするが、そこは納得するしかない。それよりも「クワガタソウ属」の「クワガタ」が気になるのである。「鍬の形」って、あの形だよね?

属の名前にもなっている「クワガタソウ(鍬形草)」は近所では見かけないので、ネットで写真と解説を読む。それによると、萼(4つある)が、上を向いた種の下からV字形に重なり(種のこちら側に1対、他は向こう側なので見えるのは手前の1対のV字形のみ)、その様子が「兜」の前に付ける飾りの一種の「鍬形」に見えるから「クワガタソウ」になったようだ。写真では「兜」に見える半球形のような種子に萼がVの字を描くように貼り付いている。なるほど、武将の兜 と見えなくもない。思わず納得しかけたが、ちょっと待てよ。「鍬」って農機具の「鍬」だよな。それがV字形なのはおかしいではないか。

ちょっと整理しよう。昔からある農機具に「鍬(くわ)」と「鋤(すき)」がある。「鍬」は長い棒の先に直角に刃が取り付けてある。対して「鋤」の刃は水平で、これは今でいうシャベル(スコップとの違いは面倒なので取り上げない)に近いものだ。刃を地面に食い込ませて雑草の根を切ったりするのに使う。「鍬」は上方へ振りかぶって地面に叩きつけるが、「鋤」は刃の反対側に足を乗せて体重をかけて地面にめり込ませる。よし整理終わり。

この「鍬」であるが、基本は一枚の長方形の鉄の板である。「兜」の「鍬形」に似ても似つかない。「鎌」を2つ並べた方がはるかに似ている。「鍬」には3〜4本の大きな爪の付いたものもあるが、これでもないだろう。V字形にはなっていないのだ。

「兜」に「鍬形」が付くようになったのは平安時代からのようだ。ヘルメット(頭にのせる部分)の周囲を皮などでできた「吹返(ふきかえし)」で囲み、顔や首を守る。また、頭部は「立物(たちもの)」とよばれる「飾り」で防御する。これは装飾や目印の意味もあるが、「兜」に直接刀などが当たるのを防ぐクッションのような役割がある。例えばVの字の形をした金属の底辺の部分を「兜」と接着させれば、上部のVの部分に打撃を受けると全体がしなる。こうして衝撃を逃がすのだ。このタイプを「楔形」という。さて、この「立物」は「兜」の前ばかりではなく、頭頂部、後ろなどにも付けられたそうだ。その中で前に付けるものを「前立(まえだて)」といい、色々な「形」がある。三日月や鹿の角や家紋、また「愛」という文字を金属で形どったものもある(有名だよね)。これは我々がイメージする「兜」そのものである。その「形」のうち、ここで取り上げているV字形のものが「鍬形」なのである。と、ここまで調べてきたが「鍬」のV字の意味がまったく分からない。
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