アヤメ(文目)/アヤメ科/アヤメ属
多年草 在来種 花期は5〜6月 英名はアイリス(iris)
11月の初旬、本格的な冬も目前に迫っている。そんな季節なのだが、代官町の交差点近くの緑地帯にアヤメ科と思われる植物が葉をのばしはじめた。中央の葉が左右の葉の間から伸びている。
どちらから見ても中央の葉は左右の葉の中にある。
タバコやボールペンがコインを貫通するというマジックがある。通常起こり得ないことであるが、実際はコインに穴があいているだけという単純な話である。コインに穴が無ければ、タバコやボールペンが2つに分かれているのである。2つに分かれたタバコがバラバラにならないのは磁石が入っているからだ。それと同じようにアヤメの葉は一枚の紙のように表と裏しかないわけだから、そうなると葉が接触している部分は二枚に分かれており、その間から中央の葉が伸びているとしか考えられない。
と普通は考えるが、相手は「生き物」で日々成長する。葉が接触している部分の細胞が活動し中央と左右の葉とを分けているのなら隙間はないのかもしれない。手品には「タネ」があり、マジシャンはそれを隠して人を惑わせるが、植物はそうする必要がない。
以前から気にはなっていたが何となくそのままにしていた。今回は記事にしようと思ったので、別の場所に生えている「アヤメ」の葉で確かめてみた。意外と大きな隙間がある。やはり葉の下部は分かれている。この部分にだけ空間があるのだ。
確認できたのはいいが、いささか後味が悪い。傷口を強引に広げてしまったような気持ちになる。強風でも同じようになるわけだから植物に影響はないと思うのだが。
さて、冒頭の写真の植物の種類はまだ分からないが、「ヒメヒオウギ」か「ヒメヒオウギズイセン」のような気がする。刈られなければ来年の春には正体が判明するだろう。
写真:zassouneko