ペチュニア(ツクバネアサガオ/衝羽根朝顔)/ナス科/ツクバネアサガオ属 南米原産の帰化植物 多年草(日本では冬を越せないので1年草) 花期は春から秋(3〜10月)で長い 学名はPetunia hybrida
緑色の雑草だらけの空き地の中で、鮮やかなピンクがひときわ目立つ。もとから植えられていたか、種がどこからか運ばれてきたのだろう。花は「アサガオ」によく似ている。
和名の「ツクバネアサガオ」の「衝羽根」とは、正月の風物詩でもある「羽根つき」で使う「羽根」のことである。花が咲いた後にできる実の部分が錘(おもり)、そして萼(がく)の部分を「羽根」に見立てたようだ(上の写真の中央から右)。
ツユクサ、エノコログサ、ヤブガラシなどに囲まれて窮屈そうだ。
ペチュニアは、ブラジル先住民が使っていた「タバコ(植物の)」を意味する言葉「petum」が語源のようだ。「タバコ」は「ペチュニア」と同じ「ナス科」だが「タバコ属」である。その「petum」に似ているから「petunia」と名付けられたという。「タバコ属」と「ツクバネアサガオ属」は近縁種でもあることから、「ペチュニア」を「タバコ」の葉に混ぜて喫煙していたという話もある。両者の写真を見比べても似ているとは思えないが、それは品種改良が進んだ現在だからそう見えるのであって、昔の原生種は似ていたのかもしれない。もしくは、両者とも「タバコ(喫煙)」として利用できるので、似たような名前で呼んだのだろう。ペチュニアの学名が「Petunia
hybrida」で「hybrida」=交雑種であることから、日本に入って来たのはすでにヨーロッパなどで品種改良されたものである。
園芸種としての「ペチュニア」。競争相手もいないし栄養も豊富なので花の数も多くなる。
日本に初めて渡来したのは1860年(万延元年)のことで、遣米使節がアメリカから持ち帰っている。ただ、寒さに弱く、また雨が多いと育たないという弱点があるので日本に定着しなかったようだ。明治時代以降も輸入されていたようだが人気は高くなかった。だが、1989年にサントリーと京成バラ園芸が共同開発した品種が高い評価を得たことから、今は人気の花となっているそうだ。
すぐ近くに1本だけ咲いていた。同じ花かと思ったら、こちらは「マツバボタン」のようだ。花弁が分かれている。「ペチュニア」と同じく南米原産である。
写真:zassouneko