マツヨイグサ(待宵草)/アカバナ科/マツヨイグサ属
アメリカ大陸原産の帰化種 1年草 「◯◯マツヨイグサ」とつくのは全て外来種です。
冒頭の写真:「ヒナマツヨイグサ(雛待宵草)」でしょうか。「コマツヨイグサ(小待宵草)」は全体が小さくて花がメガホンのような形で、葉の幅が狭く鋸葉になっています。
タイトルに「中国」と書いていますが実際は「清」ですね。ここでは「中国」と表記します。
さて、「マツヨイグサ」の仲間はアメリカ大陸原産ですので中国にとっては外来種ということになります。渡来の時期は日本とあまり変わらないのではと思っています。そこで両国の名前を比較してみました。丸数字は日本に渡来した順番です。中国にも同じ順番で渡来したというわけではありません。また、素人がネットで調査した情報ですのでご注意を。なお、花の名前の後ろの(白)とあるのは花の色です。⑦の文字が大きくずれています。タブの機能がほしいところです。あ、肝心なことを忘れていました。①の「ツキミソウ」は1847年に渡来しています。あと、和名と日本名の違いですが、生物の名前はカタカナで書くことになっています。実際、役所の書類はそうなっています。
和名 日本名 中国名
①ツキミソウ(白) 月見草 四翅月見草
②マツヨイグサ(黄) 待宵草 待宵草
③オオマツヨイグサ(黄) 大待宵草 黄花月見草
④ユウゲショウ(ピンク) 夕化粧 粉花月見草
⑤メマツヨイグサ(黄) 雌待宵草 月見草
⑥コマツヨイグサ(黄) 小待宵草 裂叶月見草
⑦ヒルザキツキミソウ(※下記参照)(薄いピンク) 昼咲月見草 美麗月見草
偶然というかなんというか名前は「月見草」「待宵草」で共通しています。これはあくまでも推測ですが、最初は中国が日本名を参考にしたのではないでしょうか。1855年に発表された「遠西舶上画譜」に「漢語の名称は不明(未詳)」と書いてあります。作者が名前を聞くのを忘れただけの話かもしれませんけどね。
さて、こうして見ると日本では「花の色」で名前を決めているようです。黄色の花は「◯◯マツヨイグサ」で、他の色の花の名前はばらばらです。⑦(※)に「ツキミソウ」とついたのは、全体の姿が「ツキミソウ」によく似ているからでしょう。残念ながら「ヒルザキ(昼咲)」ですから「ツキミソウ」の意味がありませんね。昼に月が出ることもありますから、あながち間違いではありませんけど。
上の写真:「ヒルザキツキミソウ」。花が大きい。
中国名が面白いですね。②だけに「待宵草」とついています。どうやら中国は「ツキミソウをメインに」と決めたようです。名前からすると⑤と②が一番先に中国に入ってきたんじゃないでしょうか。名前がシンプルです。ただ③の「黄花月見草」が変ですね。⑤を見れば「月見草(中国での名前です。日本で言うところの月見草ではありません。漢字が同じだからといって惑わされないように)」の花が黄色なのは一目瞭然なのですから。白い花の「ツキミソウ(日本での呼び名です)」の影響を受けているのかもしれません。これを見ると中国も混乱がみられます。どこの国も花の名前には苦労しているようですね。
(※)「ヒルザキツキミソウ」は花の色が白いものを指す場合もあるようです。ピンクなのは「モモイロヒルザキツキミソウ(桃色昼咲月見草)」というそうですが、まとめて「ヒルザキツキミソウ」と呼んでも問題はないようです。この白い「ヒルザキツキミソウ」は本来の「ツキミソウ」とよく似ていますが、葉の形が違いますし、明るいうちから咲いていますから区別は容易です。
写真:zassouneko