カンナ/カンナ科/カンナ属
熱帯アメリカ原産の植物を品種改良した園芸種の帰化種(長い!) 多年草 花期は6〜10月 中国語で美人蕉 だからカンナ科は美人蕉科になる 学名はCanna indica hybrid
「カンナ」は一度取り上げている。その時には、原産国を離れて遠い異国の地で生きている境遇を思って同情的な書き方になった。国道沿いの緑地帯で咲いているのも、育てるのに飽きてしまった者が植えたのだろう。ペットの飼育が面倒になった飼い主が「これからは自由だ。自然の中で生きろ」などと理屈をつけて、野に放つ行為を正当化しようとするのと同じである。
「カンナ科」には「カンナ属」しかないが、それでも世界中には50種ほどおり、16世紀頃にはすでに世界中の熱帯温帯地域で栽培されていたという。観賞用かと思いきや、根からデンプンを採取するために栽培されていたそうだ。つまりは食用である。それがヨーロッパに渡り、観賞用として品種改良がなされていった。学名に「hybrid」がついているのは品種改良したからだろう。
日本に渡来したのは江戸時代の1664年だが、その時は「ダンドク(檀特)」という名前だった。これは原種に近い種であって姿形や花の色が今の「カンナ」とはずいぶんと違う。正確に言うと「カンナ渡来」ではなく「カンナ科の1種」が渡来したのである。では、現在の「カンナ」が渡来したのはいつかというと、説がいくつかあってはっきりとしない。江戸時代末期の1856年、当時の「遠西舶上画譜」に「蘭蕉」という名前で載っているのは確認できた。おそらくこれが「カンナ」だと思うが、「明治末期」「昭和初期」という説もある。そうなると、この江戸時代のものは「ダンドク」のように品種が違うのかもしれない。
日本に「カンナブーム」があったかどうかは知らないが、「カンナ」自体はそこら中で見かける。慣れない異国で苦労しているのかと思いきや、この花はとてつもないパワーを持っていた。
駐車場に敷かれたアスファルトを貫いて成長する。別名の「美人蕉」のイメージに騙されたようだ。
写真:zassouneko