①スイセン ②ハタケニラ ③ハナニラ ④ニラ
タイトルは大げさですが、難しいことは書いてありません。そんな力量はありませんから。まず「ニラの誤食/その1」で取り上げた「スズラン」は外しました。間違えようがないからです。あれを「ニラ」と間違えるような人は野草を摘んではいけません。そして植物の生態に関しては、
名古屋市東区に咲いている花を参考にしています。
ですから他の地域とは事情が異なる場合があるかもしれません。
まず花の有無の影響を考えてみます。花は植物名を判断する重要な手がかりとなり、花を見比べれば「ニラ」と誤認する割合はうんと減るでしょう。ご覧のように①〜③の花は「ニラ」とは異なっていますが、②は判断に迷うところです。①を「ニラ」と認識するとは思えませんが、この「スイセン」が中毒の主役なのです。「スイセン」は3月を過ぎれば、ほとんどの花は枯れて葉だけになります。そのような状態の時には
誤認することが多くなります。③の「ハナニラ」も4月には花が消えてしまいます。そして②の「ハタケニラ」はまだ花が咲いていません。つまり今頃(4月中旬)に花をつけている「ニラに似た植物」はないのです。そうなると葉の形と匂いで判断しなければなりませんが、「ニラ」の匂いを持っている③を区別することは容易ではないでしょう。
ニラ農家は信用と安全の問題もありますから、しっかり管理はしています。ですからお店で売
っているも
の
に「スイセン」が混入することは
な
いでしょう。
中毒の被害に遭った人のほとんどは自宅に「ニラ」と「スイセン」が生えていたようです。「スイセン」の花を見れば「ニラ」との区別は簡単なのに、なぜ間違えるのでしょうか。「うっかりしていた」ということもあるでしょうが、他の理由も考えてみました。
ここからは勝手な推測ですの
でご注意ください。
間違ってしまうのは「スイセンの花」を見ていないからです。「そんなことはあり得ない」と思われるでしょうが理由があります。おそらく、この「ニラ」は農業の主力の作物ではなく、家庭で消費するだけのものでしょう。そして畑や庭の片隅に毎年勝手に生えてくるものを収穫しているものと思われます。名古屋市内でも「ニラ」が自生している場所が、私の自宅近辺には3ヶ所ほどありますから。世話いらずで放っておいても育つとなれば、収穫時期以外に関心は向きません。関心がなければ生えている一角を見ることはないでしょう。他の植物が生えていても気づかないことになります。「そこにあるのに気づかない」とは作家の京極夏彦氏のデビュー作のようですね。