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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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ヒメジョオンとハルジオン/その2/名前をしっかり覚えよう

この両者は名前が混同されがちですが、漢字を見ていただければ理解しやすいのではないでしょうか。
ヒメジョオン(姫女菀)/キク科/ムカシヨモギ属
北アメリカ原産の帰化植物で1年草。1865年の江戸末期に観賞用として渡来する。0.5〜1m。花期6〜10月。別名は柳葉姫菊(やなぎばひめぎく)
・ハルジオン(春紫菀)/キク科/ムカシヨモギ属
北アメリカ原産の帰化植物で多年草。1920年の明治末期に観賞用として渡来した。0.5〜1m。花期4〜7月。別名は貧乏草(びんぼうぐさ)

漢字で書くと「姫女菀」と「春紫菀」です。これさえ覚えておけば「ヒメジオン」とか「ハルジョオン」などと間違った名前で呼ぶことはないでしょう。さて次に名前の由来を説明しますが、その前に「オン」の字に注目していただきたい。「菀」と書いてありますね。「苑」ではありませんよ。それに「菀」は「苑」の旧字でもありません。別の字です。漢字の意味は両者とも大体同じですが、「菀」には「茂る」という意味もあります。「苑」はその意味を持ってはいません。

先に「ハルジオン(春紫菀)」の解説をします。「春+紫菀」ですから「春に咲く紫菀に似た花」という意味です。この「紫菀(シオン)」とは秋頃に咲く薄紫色の花を持つ日本の在来種です。下に無料の写真サイトで見つけた「紫菀」の写真を載せました。人の身長ぐらいに成長する日本の在来種で、古くからある色の名前の「紫菀」はここから来ています。「シオン」の「シ」が「ジ」と濁るのは日本語の「連濁」という習慣的用法です。和菓子(かし→がし)と同じことです。別に「ハルシオン」でも間違いではありませんが、なんとなく言いづらいので「ハルジオン」でいいんじゃないでしょうか。そうそう、今「ワスレナグサ」というと、ほとんどの人は西洋から来た花が思い浮かぶでしょうけど、この「紫菀」も「ワスレナグサ」と呼ばれています。平安時代の書物「今昔物語」に「不忘草=紫菀」「忘草=萱草」とした物語が載っています。西洋の花がやって来るはるか以前に、日本にも「ワスレナグサ」はあったのです。どこの国であっても人はどこか共通するような話を作り出すということですかね、などと書くと「ロマンがない」と叱られそうですが。
上:「ハルジオン」という名前の元になった在来種の「紫菀(シオン)」(無料写真サイト「写真AC」より)
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