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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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ナズナは春の味覚

ナズナ(薺)/アブラナ科/ナズナ属
在来種 2年草 花期は3〜6月

深江輔仁「本草和名(918年)」に「薺(中国の書物に、この名前で載っている)」は「和名(日本だと)奈都奈」。また、同時代の源順(みなもとのしたごう、と読む)の「倭名類聚抄( 934年)」では「薺」に「和名奈都那」とある。読みはいずれも「なつな」か「なづな」「なずな」だろう。違っていたら申し訳ない。合っていると思うけど古典の素養がないので自信がない。思わぬ「読み方」もあるからだ。なんせ「みなもとのしたごう」だしなあ。「源」はいいとして「順」を、そう読むとはちょっと意外である。


「ナズナ」の語源ついては諸説ある。春、秋、冬には生えているが夏になると消えてしまうから「夏無(なつな)」、小さくて可愛らしく、思わず撫でたくなるから「撫菜(なでな)」という説。また、古語の「ナデ(切り刻むという意味があるそうだ)」から「ナデナ」になったという説があるが、肝心の「ナデ」が検索しても分からなかった。

「七草粥」にその名があることからも分かるように「ナズナ」は古くから食べられてきた野菜である。野菜は「雑草ではないもの」で「畑で栽培されたもの」と思いがちであるが、「野菜」という字からして、もともとは「野にある菜(食べられる草)」のことだろう。また、英語の「vegetable」は「活気づける」という意味のラテン語からきているそうだ。肉だけでは栄養が偏るので野菜も食べて元気になろうということだろう。現在の日本では「肉を食べてスタミナをつける」という考えが主流のような気がするのは、米(植物)中心と肉中心(時々パン)の食生活の違いが出ているのだと思う。

青々とした葉の「ナズナ」。これなら「食べる」ことができそうだ。画面の左、葉が同心円上に並んでいるのは「ヤエムグラ」、画面右は「ノボロギク」、奥の三角の葉は「セイヨウタンポポ」。(2016年の2月の末頃の撮影)

「ナズナ」は食べると美味しいらしい。韓国では春になると「ナズナの市」が立つ。江戸時代初期の書物には「和え物」「おひたし」がいいと書かれてあるそうだ。そして最も味がよいのは種を採って畑に蒔いて育てたものであるという。現在の野菜と同じである。今のように石油で暖房するビニールハウスなど無い時代だから野菜の収穫は季節が限られる。つまり冬の間の「野菜」は豊富とはいえない。それが一転、春になればあちこちから「野菜」が芽を出すのである。その喜びはいかばかりなことか。現在の 我々が感じる春の訪れの喜びなどは、それにはるかに及ばないであろう。

写真:zassouneko
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