カラスムギ(烏麦)/イネ科/カラスムギ属
ヨーロッパ原産 帰化種 60〜80cm(30〜100cm)花期は6〜7月
前回カラスムギを見つけたのは2014年である。5年振りの再会だ。前回は清水口交差点付近、今回は車道だ。背の高いイネ科の雑草で春によく見かけるのは、イヌムギやホソムギ、カモジグサといったお馴染みの面々ばかりなので、たまにカラスムギのようなあまり見かけないイネ科に出会うとうれしくなる。冒頭に帰化種と書いたが、カラスムギが渡来したのは縄文時代なので、もう在来種扱いでいいんじゃないかな。
写真が見にくくて申し訳ない。周りに柵があって近づけず、逆光の中での撮影になった。柵を乗り越えてもよかったが、人目もあるので遠慮した。
さて、カラスムギとは人の役に立たない、カラスぐらいしか食べないという意味である。10世紀頃の書物にも「加良須毛岐」「加良須牟岐」とあり、1000年以上の昔からカラスと呼ばれる筋金入りの役立たたずなのである。ところが、ヨーロッパではこれを改良してマカラスムギを作った。これがOat(オーツ)で、燕麦(えんばく)、オートムギ、オーツ麦とも呼ばれる。これからできる代表的な食品がグラノーラである。
ちなみにマカラスムギを漢字で書くと「真烏麦」となる。それまで役に立たなかった烏麦が「真に人の役に立つようになった」という意味の「真」らしいが、これは「真人間」になったと言われているのと同じことである。カラスムギは怒ってもいいだろう。
同じイネ科で役に立つ植物といえば何と言っても小麦と大麦だろう。大、小と対比するような名前が付いていると近い関係性があるように思うが、たまたま同じイネ科にいるぐらいの別の植物と考えた方がいいらしい。ナスとジャガイモぐらい違うという例えもあった。小麦、大麦という名前があらぬ誤解を生み、我々の理解を妨げているのである。
写真:zassouneko