カミツレ(加密列)/キク科/コシカギク属
帰化種 1年または越年草 江戸時代後期に渡来 学名はMatricaria recutita L. Matricaria chamomilla L.(こっちがシノニムだと思う)
「カミツレ」とはハーブの「カモミール」の和名である。
いつからここで咲いていたのかは分からない。その存在が気になりだしたのは去年(2017年)のことである。それまでは近所の誰かが植えた園芸種だと考えていたのだ。けれど、ちょっと変である。毎年同じ場所で咲いているし、歩道の隅にも生えている。
歩道の僅かな隙間からでものびる
レンガで囲われた中が本来の場所だろうが、下にはみ出してしまったものもいる。右から「カミツレ」、「ヴィオラ」、ピンク色の花は「ユウゲショウ(マツヨイグサの仲間)」。また、写真の右上にわずかに見える白っぽい花は「ヒルザキツキミソウ」だ。全て帰化種である。
「カモミール」のような気はしていたので、今年になってから葉っぱの匂いを嗅いでみたが何の香りもない。ただの草の匂いである。もしやと思って花の匂いを嗅いでみるとリンゴの香りがするではないか。「カモミール」は花が香るのだ。知らなかったな。帰ってから調べてみると、かなり以前より帰化しているようである。それも知らなかったな。
「カミツレ」の葉。どこかコスモスを思わせる。コスモスもキク科である。
「カモミール」には「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」があるが、ここで咲いているのは「ジャーマン」の方だろう。上で「リンゴの香り」と書いたが、そう感じるのは一瞬だけで、すぐに新車の車内の匂いに似た化学製品のような香りに変わってしまう。そして、不思議なことに何度試しても最初だけは「リンゴの香り」がするのである。ちょっと面白い。私の鼻が変なのかな。
ちょっと気になることもある。ここでは「キク科コシカギク属」としたが、「シカギク属」「カミツレ属」としているサイトもある。また、学名に関してだが、キク科は「Asteraceae」で、「Matricaria chamomilla L. 」「Matricaria recutita L.」の「Matricaria」が「コシカギク属」「シカギク属」「カミツレ属」にあたる。どの表記が合っているのか知らんが。で、この「Matricaria」は「子宮」という意味で、「カミツレ」が婦人病に効くということから、そうなったらしい。まあ、ここまではいい。その後ろの「chamomilla L.」「recutita L.」が分からないのである。特に前者は「カモミール」の語源となっていることは一目瞭然だが、どこを探しても意味が載っていないのだ。ドイツ語で「地面」+「リンゴ」とか、ギリシャ語で「低い」+「リンゴ」とかの意味があるという話なのだが、そもそも学名はラテン語でつけるものじゃないのか。発見者などの名前を学名の最後につけることも多々あり、その場合は英語で表記するようだが。「chamomilla L.」「recutita L.」はそれと同じ扱いなのかな。
最後に「カミツレ」の薬効(和薬としての)について調べてみると「美容」「美肌」「緩和な鎮静効果」とある。えーと、これらは婦人病なのかな? 最後の「緩和な鎮静効果」ってリラックス効果があるって話じゃないの。
写真:zassouneko