オニノゲシ(鬼野芥子)/キク科/ノゲシ属
ヨーロッパ原産の帰化種 2年草
日本には「オニノゲシ」という花が帰化していて、その棘は「痛い」ということは知識としてあった。いつか会いたいと思っていたので、それらしい植物を見かけるたびに葉を触って確認していたのだが、ついぞ出会えなかった。今回もいつものように触ってみたら、その痛さに驚いた。今までは痛い棘に出会っていなかったから、つい油断して思いっきり掴んでしまったのである。
同じ仲間に在来種の「ノゲシ(野芥子)」がいる。在来種は外来種に圧倒されてしまうことがあるが(例:ニホンタンポポとセイヨウタンポポ)、「ノゲシ」と「オニノゲシ」の場合はそうではないようだ。この辺りでは「オニノゲシ」をほとんど見かけないのである。この両者の見分け方は「棘が痛いか痛くないか」だ。「ノゲシ」の棘は柔らかいので痛くないが、「オニノゲシ」は痛いのだ。
葉の下部は茎を抱く。光沢もある。棘は見るからに痛そうだ。
これが「オニノゲシ」か。そう思って全体を見ると、「ノゲシ」とは葉の色や質感がずいぶんと違うような気がする。「ノゲシ」の葉は深緑で柔らかな感じがするが、「オニノゲシ」はそれよりも鮮やかな緑で葉に光沢が見られる。葉の表面を例えて言えば「ノゲシ」は和菓子で、「オニノゲシ」は西洋の焼き菓子(バターをハケで塗って焼いた)といったところか。
国立環境研究所の「侵入生物データベース」によると「1892年に東京で確認された」とある。明治時代の中頃にはすでに定着していたようである。観賞用の花ではないので、他の荷物に紛れて侵入したらしい。
「松江の花図鑑」というサイト(いつもお世話になっています)には「ノゲシ」「オニノゲシ」の他に、雑種の「アイノゲシ」がいるという。日本産とヨーロッパ産のハーフである。ちなみに、棘は痛くないそうだ。今までは棘の痛さで判別できたのだが困ったことになった。見分けるのが難しそうである。
写真:zassouneko