ブタナ(豚菜)/キク科/エゾコウゾリナ属
ヨーロッパ周辺原産の帰化種 多年草 花期は6〜9月 別名はタンポポモドキ
東警察署の近く、「ヒルザキツキミソウ(最近、大繁殖している外来種)」と一緒に咲いていた。1933年に札幌、1934年に神戸で確認された外来種で、飼料や牧草に紛れ込んで侵入したようである。
花の大きさも形も「タンポポ(セイヨウ)」とよく似ている。
「ブタナ(豚菜)」とは少々かわいそうな名前だが、フランスで「豚のサラダ」とよばれていたので、そこから「豚菜」になったという。似たような仲間に「ヒメブタナ」がおり、こちらは1970年に三重県四日市市で初めて確認された。花期は4〜5月で「ブタナ」より1〜2ヶ月ほど早い。花期から判断すると、ここで紹介している雑草は「ヒメブタナ」となるが、花の大きさからいって早く咲いた「ブタナ」だろう。「ヒメブタナ」は花の直径が1〜2センチほどで「ブタナ」よりかなり小さいのだ。
左:ブタナ、右:セイヨウタンポポ。タンポポは中心に筒状花があるが、ブタナはそれがない。
茎は長くのびて分岐する。50センチ以上はあるだろうか。タンポポの茎は中空で柔らかいが、ブタナは中身が詰まっていて硬い。表面に毛はなくスベスベしている。
葉はタンポポに比べて貧弱だ。また、地面にぴったりくっついて生えている。地面との隙間がないのである。不思議だ。
植物に動物の名前(イヌ、ネコ、ネズミ、カラス等)がついていることがあるが、それは人が利用(食用)できないことを表している。だが、この「ブタナ」はそうではなく、ヨーロッパでは食用とされている。若い葉や茎をサラダやおひたし(ヨーロッパで「おひたし」というかどうか知らんが、とにかく茹でるのである)、揚げ物などにするという。タンポポよりも苦味が少ないらしい。タンポポコーヒーというのがあるが、「ブタナ」もコーヒーにできるようだ。ギリシャのクレタ島では茹でたものをよく食すという。なかなか有用な植物である。まあ、敢えて食う気はないが。
写真:zassouneko