新しい空き地ができた。新しいと言っても去年の年末には、すでに空き地だったのだが。その時は寒い季節だったので生えている雑草も少なく、ブログにも書かなかった。その場所に久し振りに寄ってみると、おお、雑草が増えているではないか。さすが春が近いだけある。
普通なら雑草たちは押し合いへし合いしながら成長する。そもそも街中では生育できる場所が限られているわけだから、そこに強引に押し入っていく必要があるのだ。ところがこれが空き地となると話は別だ。いわば早い者勝ちである。競争相手も少ないので、それぞれがのびのびと成長を始めている。スペースがあるので、みんな円形になる。
おなじみ「ホトケノザ/在来種」。春の七草の「ホトケノザ」ではない。そっちは「タビラコ/在来種」で、別名が「ホトケノザ」なのである。で、上記の「ホトケノザ」であるが、花期が10月〜6月なのだ(注:6月〜10月ではない)。つまり夏を除いたほとんどの季節に花をつける。これでは「春の七草」の仲間には入れてもらえない。
「アメリカフウロ/帰化種」:上。左下に「カタバミ/在来種」が黄色の花を咲かせている。
「ミチタネツケバナ/帰化種」:上。在来種の「タネツケバナ」が咲くのはもっと後になる。「タネツケ」とは「種漬」で、田植えに向けて稲の種子を塩水に漬けて選別することをいう。「タネツケバナ」は、その時期を知らせるように咲くのである。
「オオイヌノフグリ/帰化種」:上。鮮やかな青が本当に美しい。なぜか心惹かれる。
なんだか多肉植物のような感じがするが、よく見れば「ハハコグサ/在来種」なのであった。画面の下の方に黄色い花が見える。こんな姿は初めて見た。
「オニノゲシ/帰化種」かと思ったが、棘を触ってみても痛くはない。「ノゲシ/在来種」との交雑種の「アイノゲシ」かな。
「アメリカイヌホオズキ/帰化種」。ツルツルした黒い実がついている。去年の年末に来た時には白い花をつけていた。花期は夏〜秋のはずなんだがなあ。もう少しすれば葉も黒くなる。この雑草の英語名は「ブラック・ナイト・シェード」、訳は「黒い夜の帳(とばり)」である(多分)。
「スズメノテッポウ/在来種」を見つけた。柔らかな穂の感触が気持ちいい。去年、別の場所でも見つけているが、それ以来の2例目になる。この近辺では見かけたことがないので、今までずっと地中で眠っていたのかもしれない。
2年程前に高級住宅街の中にできた空き地で珍しい雑草たちに出会えた。「ギンセンカ」「トマトダマシ」「イチビ」などなど。週に1度は必ず訪れるほど、この空き地に通った。そこは古い邸宅の跡地で、かなり面積もあった。取り壊される前がどうだったかは、はっきりとは覚えていないが、草木が生い茂っていたような記憶がある。そこに封印されていた種子が建物が無くなることによって目を覚ましたのであろう。このような経緯もあって、この新しい空き地にも期待をしている。春はこれからなのである。
写真:zassouneko