ハコベ/ナデシコ科/ハコベ属 在来種 花期は春
春の七草でおなじみのハコベだが、意外とやっかいである。まず、ハコベという名の植物はなく、正確に言うとミドリハコベとコハコベになる。これはサクラをソメイヨシノとかヒカンザクラなどと区別するのと同じことである。他にもウシハコベというのもある。見た記憶はないが、大きなハコベのようなものらしい。あやふやで申し訳ない。
春の七草に登場するハコベはミドリハコベ(学名はStellaria neglecta Weihe、中国語では鸡肠繁缕)で全草が緑色である。コハコベ(Stellaria media (L.) Vill. 蘩蔞:中国語)は明治時代に帰化したもので、茎が赤紫色になる。ただし、日陰に生えると緑色のままのものもあるという。やっかいな話である。学名の「Stellaria」はラテン語で星(Stella)である。英語のスター(star)の語源だろうと推測したが、そちらはギリシャ語のasterがstarになったようだ。ところで、☆は5つの出っ張りがあるが、なんで5つを「星」にしたのだろうか。ああ、本文とは関係なかった。脱線した。
花弁は5枚だが、中央が深く裂けているので10枚に見える。ミドリハコベだと思うけどなあ。微妙だ。ミドリハコベを中国語で「鸡肠繁缕(鶏の腸)」と書くのは、茎を切ると中に白い腸のようなものがあるからだ。上から下までつながっており、ゴムとまではいかないが伸び縮みする。
↑こちらはノミノツヅリ(在来種)。花弁は5枚。切れ込みはない。
白い丸の中がノミノツヅリ、赤い丸はミドリハコベ。
↑こちらはツメクサ(在来種)。花弁は5枚で切れ込みはなく、ノミノツヅリに比べて丸みがある。アスファルトやコンクリートの裂け目によく生えている。
ツメクサは「爪草」と書く。葉は鳥の爪の形をしており細く尖っている。
↑こちらはオランダミミナグサ(帰化種)。花弁は5枚で深い切れ込みがあり、形は長方形に近い。花は閉じていることが多い。葉の色は緑というより黄緑で、毛が多い。ハコベと違い、夏や秋でも花が咲く。
全体的にハコベより大きい。30センチを超えるものもある。どこにでも生える。
写真:zassouneko