忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


スイバは酸っぱい/2019.4.21

IMG_3578
2016年撮影
スイバ(酸い葉)/タデ科/ギシギシ属
在来種 花期は5月〜8月 学名:Rumex acetosa L. 別名スカンポ

これを書くにあたり過去のブログを検索してみたら、3年前(2016年)にも取り上げていた。その時はスイバかアレチギシギシかで迷っていて、結局はアレチギシギシ(スイバの可能性あり)として記事を書いた。そんなどっちつかずの気持ちで書いたものだから、記憶からすっかり抜け落ちてしまっていた。スイバは山菜として、また食べられる野草として有名なので、それが街中に生えているとは信じたくなかったのである。気を取り直して今回はスイバとして紹介しようと思う。

スイバ(酸い葉)は葉や茎をかじると酸っぱいので、そう名付けられた。10世紀頃の書物には「須之(すし)」という名で記録されている。また、地方によってはスカンポ、スイジ、スイジグサ、スガナ、スカナ、スカシ、スイコなどと呼ばれていた。どれも「ス」から始まっている。「須之」の「須(す)」は酸っぱいの「す」なのかな? 上記のいろいろな名前の中でスカンポは比較的知られていると思う。以前読んだ本の中に「スカンポの茎をポキンと折って皮をむいて塩をつけて食う」という文章があったように記憶している。だが、これをスイバのことだと思ってはいけない。こらはイタドリのことを書いているのである。両者ともスカンポという別名を持っているからややこしくなる。

IMG_3580
緑の部分がある
IMG_3579
ほとんど真っ赤。赤いのは花らしい。

さて、酸っぱいというからには味を確かめねばなるまい。上の方の若葉をちぎって口に入れてみる。最初は草特有の青臭い味だが、しばらくすると酸っぱさを感じる。この酸っぱさは「お酢」とは違い、苦味を伴っているような気がする。どこか記憶にあるような、と考えていたら思い出した。木酢液だ。木酢液を舐めたことはないが、鼻に抜ける匂いの中に木酢液を思わせるものがある。燻製を食べた時に感じる煙の苦味のようなものと言ったらいいだろうか。このスイバの酸っぱさはシュウ酸が含まれているからだ。シュウ酸はホウレン草にも多く含まれている。食べた後に歯の表面がキシキシするのはシュウ酸のせいである。いい大人が「キシキシ」と書くのもどうかと思うが、それ以外の表現が見当たらないのである。

IMG_3583

スイバは上の図の①のような形になる。②はギシギシで周囲はギザギザである。両者とも横から見るとハート型であるが、それを下から見ると3つに分かれている。これを言葉で説明しようとしたが、できなかったので絵にした。「背の低い正三角柱の各側面を中心に向かって押してくっつけた形である」と言っても想像しづらいと思う。

IMG_3581
上部の葉は茎を抱き込むように生えるが、下部の葉は葉柄が長くのびる。

この植物はアジアからヨーロッパまで広い範囲で分布しており、学名の「Rumex」は槍(やり)、「acetosa」は酸っぱいという意味になる。つまり遠く離れた異国の人も、この葉っぱをかじって「酸っぱい」と思ったのである。どこの国の人もやることは同じである。

さて、スイバとして紹介したのだが、実はまだ確信が持てないのだ。スイバかヒメスイバ(外来種)か判断がつかないのである。それに加えてスイバは雌雄異株だという。つまり雄株と雌株があるのだ。もうついてはいけない。だからその辺は無視することにした。悪しからず。


写真:zassouneko

PR