在来種 つる性の越年草 花期は3〜6月 若芽、若葉、果実(豆)は食べられる。正式名称(?)は「ヤハズエンドウ」
「カラスノエンドウ」は熟すと実(豆)と莢(さや)が真っ黒(黒=カラス)になることから、そう名付けられました。ただ「カラスノエンドウ」ではなく、「ヤハズエンドウ(矢筈豌豆)」と呼ぶほうが学術的にも正しいとされています。ですが、今までずっと「カラス〜」と呼んできましたので、そのままで話を進めます。学校の教科書にも「カラス〜」という記載もあるようですし。
「ヤハズ(矢筈)」とは、弓を射る際に、弦にひっかける矢の末端の部分にある小さな切れ込みのことで、この草の葉の先端がその「矢筈」の形に似ていることから付いた名前です。よく似た仲間に「ホソバヤハズエンドウ」というのがあるそうで、文字通り「ヤハズエンドウ」より葉が細いからということです。ただし葉の先端が窪んておらず尖っているということですから、それに「ヤハズ」の名を冠するのは変な感じがします。
雑草にしては花は大きくて美しく、なかなか見応えのある草です。ツル性でなく、真っ直ぐに伸びる草であったなら観葉植物として人気がでるのではと思いますが、同じマメ科には「スイートピー」という強敵がいますので前途は多難です。そういえば子供の頃に「カラスノエンドウ」を摘んだりした際に「なんだか手がベタベタするな」と感じたことを記憶しています。最近になってその理由が判りました。中心の茎から分岐して葉をつけた枝(正確にいえば、たくさんの葉がついている枝はそれ自体が1枚の葉で、これを複葉と呼びます)をのばしますが、花はその付け根に咲きます。その複葉の付け根に、メインの茎との接合を強化する托葉という部分があり、そこに蜜を出す「蜜腺」があるのです。昔の記憶にあった「手がベタベタする」のは蜜腺の蜜が手に付いたからですね。謎が解けました。
写真の丸の中が托葉で「蜜腺」があるはずですが、まだ蜜は出ていないようです。