ヒメオドリコソウ(姫踊り子草)/シソ科/オドリコソウ属
ヨーロッパ原産の帰化植物 越年草 花期は4〜5月
「1893年(明治26年)に東京駒場で記録」とあるから、おそらく明治になってからの侵入だろう。観賞用とは思えないので、牧草や荷物に紛れ込んでいたものと考えられる。名前の「姫(ヒメ)」は小さくて可愛らしいという意味があるが、それが付かないただの「オドリコソウ」、つまり「ヒメオドリコソウ」の名前の元になったのは日本の在来種の「オドリコソウ」で、同じ「シソ科/オドリコソウ属」である。なぜ「踊り子」と名付けられたかというと、この「オドリコソウ」の花を見れば納得がいくだろう。「オドリコソウ」の葉は、食用の「シソ(紫蘇=大葉)」によく似ており、茎から向かい合うように伸びた2枚の葉のすぐ上に、人が立っているような姿に見える細長い花が茎を取り巻くように咲く。この花と葉はセットになっていて、それが1本の茎に間隔を空けて付いている。このような特徴は「ホトケノザ」にも見られる。名前の由来は、向かい合った葉を「円形のステージ」に、そして人の立ち姿にも見える花を、ステージの上で踊る「ダンサー」に見立てたのである。ステージといっても洋風のアレ(ムーランルージュみたいなヤツ、見たことがないのでよくは知らんが)の舞台ではなく、盆踊りを想像していただきたい。つまり広場の中央に建てられた櫓(やぐら)上で、花笠をかぶって輪になって踊る娘たち(ダンサー)のイメージである。
上の写真が「オドリコソウ」(無料写真サイト「Pixabay」より)
「ホトケノザ」と区別がつきにくい草である。まあ同じ「シソ科オドリコソウ属」であるから、似ているのはしょうがない。目につく違いといえば「ヒメオドリコソウ」は葉が丸みを帯びた三角で、花が咲くと上の葉から順番に赤紫色に変わっていく。
上の写真(2014年撮影)はまだ若い「ヒメオドリコソウ」。青々としています。