「熱中症になった」と書いているが、医者に行って診断を受けたわけではなく、あくまでも自己判断である。他の原因があるのかもしれないが、ともかくも快方に向かっている。熱中症関連のニュースは6月あたりから耳にするようになるが、どこか他人事のように考えていた。「症状が悪化する前に気づくはずだ」と思っていたし、普段から水分を摂ることを心掛けてもいた。それなのにこの有様である。今回はその顛末を書いてみた。これが熱中症を代表する症状かどうかは分からないが、どうぞご笑覧あれ。
7月はほとんどブログを更新できなかった。6月下旬から体調を崩してしまったのが原因である。医者に行くほどの症状ではないのだが、何となく体がだるくて食欲もない。それに胃の調子もよくないのである。通常業務はなんとかなるのだが、ブログの更新まで手が回らない。文章を入力しようとしても頭が働かないのである。
やがて7月に入り本格的に暑くなってきたが、まだエアコンをつけるまでもないと感じていた。そんなある日のこと。この日も朝から気分がすぐれない。気温がやや高いが気にはならない。アイスコーヒーを飲みながら安静にしていたのだが、そのうち冷や汗が出てきて吐き気をもよおすようになった。こうなってから、はたと気がついた。これは「熱中症」ではないか。
ならば体を冷やさなければならない。一番手っ取り早いのは水風呂に浸かることである。これはエアコンより速効性がある。我が家は風呂のお湯を抜かないので、その残り湯に水を足して腰まで浸かった。これなら股間や足首などの表皮に近い大動脈を直接冷やすことができる。冷却剤をそこにあてるのも同じ効果がある。腋の下に挟んでもいい。なお、肩まで水に浸すのは年寄りには危険だと思う。それはさておき、2分ほど水風呂に浸かっていると、あら不思議、気持ち悪さは消えている。
水風呂に入るという方法は妻が4〜5年前からちょくちょくやっていたことである。妻も気分が悪くなって吐いたりしたこともあったのだが、それが熱中症による症状だと気づいたそうだ。その解決策として水風呂を思いついたらしい。それまでは具合が悪くなると横になって休んでいたようだが、それよりも効果がてきめんだそうだ。
このところ調子が悪かったのは高い湿度のせいで毎日のように軽い熱中症になっていたからだろう。世間で言う「夏バテ」がこじれたようなものだろう。気温が高くなくとも湿度が高いと熱中症になるということは聞いたことがあるが、まさにそれだった。そういえば汗がやけに脂っこくベタベタとしていて不快だったのは、暑さに適応できず、サラリとした汗がかけなくなっていたからだろう。
さっそく、その夜は水分補給してから熱めの風呂で半身浴。半ば強制的に汗をかくようにした。数日続けた結果、体調が戻ってきた気がする。やれやれ、一時はどうなることかと思った。だが、こうなってみて「いよいよ老化が始まったか」と認識できた。
年をとると、いろいろと鈍るものだ。運動機能は仕方がないが、感覚器官も鈍るのが困りものである。しかも、どうしたわけか寒さには敏感になり暑さには鈍感になるのだ。こうなると暑さで体が危険な状態になっているのを察知できなくなる。
かなり以前にテレビで見た話だが老人は若者より高温に対する感覚が2〜4度ぐらい低く感じるようである。年寄りが平気で熱い風呂に入るのは感覚が鈍っているからだし、暑い日でもエアコンを使わなかったりするのは本人が暑さを自覚していないからだ。
「エアコンは冷えすぎるので嫌い」という者(特に女性)もいるだろうが、寒いと感じたら長袖、重ね着、長ズボンにすればよい。なになに「電気代が無駄になる?」 気にすることはない。北海道では真冬に暖房をガンガン焚いて、Tシャツ、半ズボンでアイスクリームを食べるそうだ。それと同じことである。我慢できる温度だと感覚で判断してはいけない。年寄りはその感覚自体があてにならないからだ。「自分の感覚」が信頼できないなら、「知識」や「知恵」を頼るしかない。長い人生を歩んできて経験豊富な年配者ならできるはずである。では、お体を大切に。
写真:zassouneko