「その1」の中で、桜の木を植えるために、以前に生えていた別の樹木を切り倒したのではないかと述べたが、この章はその続編である。冒頭の写真の場所は金城学院高等学校がある東区白壁の交差点から名鉄瀬戸線の尼ケ坂駅に向かう道で、地下鉄高岳駅から北へ続く桜並木と繋がっている。ご覧のように最近植えたと思われる桜の木が並んでおり、養生のための布が巻かれたままである。いずれも若い木だ。やはりここも街路樹を桜に植え替えたようである。
これをブログで取り上げたのは、都市計画に文句をつけたり、切り倒された木に代わって恨みを述べるためではない。もとより新しく植えられた桜の木に何の不満もないし、もともと桜に罪はない。妙に気になるのは、あえて「サクラ」を植えることである。ここ最近は「サクラ」の人気が高まっているようで、それは日本だけにとどまらず、世界からも注目されているようだ。重要な観光資源の一つであることは間違いないので、行政としては植えたくなるだろう。
引っかかっているのは「桜の木」を遊園地のアトラクションのように扱っていないかという点だ。古くさくなり人気のなくなったアトラクションは取り壊され、新しいものが作られる。人を呼びこむには魅力あるコンテンツが必要だからだ。それと同じようなことを「美しい日本の自然」という誰も反対できないようなスローガンの元で進めているのではないか。桜を植えることは自然保護ではなく、ただの娯楽が目的であることを忘れてはならない。「美しい桜を通して自然の大切さを知る」などという人間の美意識に頼った方法は自然保護には効果が薄いように思われる。なぜなら自然を人の美意識で判断することは無駄な行為であるからだ。自然は人の美意識に従う必要などないし、人の美意識を満足させるものだけが「価値ある自然」ではない。