タマサンゴ(玉珊瑚)/ナス科/ナス属
ブラジル原産の常緑低木 0.5〜1.5m 花期5〜9月 別名フユサンゴ、リュウノタマ
花を見てナス科だろうと判断したのだが、なかなか名前が見つけられなかった。それもそのはず「木」だったのだ。木は観察対象から外していたのだが、既に絵を描いてしまった。せっかくなので取り上げることとする。雑草に見えなくもない。
明治中期に観賞用として輸入。花がメインではなく実の方を「赤珊瑚」に見立てて観賞したようだ。正月に赤い実をつける数種の植物を縁起物として飾る風習があり、それぞれ「万両」「千両」「百両」「十両」「一両」と名付けられている。どれを選んで飾ろうが自由であるが「一両」は外せないそうである。というのも「一両」は本来は「アリドオシ」という植物で、これを「有り通し」と読んで「万両、千両、有り通し」と3つ並べて飾るのが正しい作法とされている。「大金が自宅にずっとある」ということだろう。また「モッコク」という大きく育つ木があるが、それと「万両」、「千両」などを庭に寄せ植えにして「万両、千両、持ち込む」と見立てるそうだ。私にはよく分からない世界である。
「タマサンゴ」が「万両」達の仲間入りが出来なかったのは寒さに弱いからである。正月まで赤い実が保たなかったのだろう。「木」に分類されてはいるが暖かい地方でないと冬を越せず枯れてしまうという。そもそも明治になって渡来した新人に、歴史ある「縁起物」のポジションが与えられるはずもないのであるが。