伊藤左千夫の小説に「野菊の墓」とい
うのがある。タイトルだけで内容が想像できそうである。はるか昔に読んだような記憶があるが定かではない。山口百恵主演の
映画のコマーシャルと混同しているのかもしれない。それはともかく、
この小説の中に少女を「野菊」に例える場面がある。映画だと「民さんは野菊のような人だ」というセリフだったような気がする。さて、この「野菊」だが、いったいどの種類であったのかについていろいろな議論があるようだ。けれども
作者がはっきりと名前を書いていないので真相は分からないのである。
要は「野菊」なら何でもよかったのだろう。作者が「野菊」の種類にこだわっていたとは思えないのである。もし「こだわっていた」のなら、文中に分かりやすいヒントを残しているはずだ。例えばその「野菊」が「ヨメナ」だったとしたら「嫁=結婚する」という暗喩となるが、そんな単純な表現を作者は採用しないだろう。とりあえず作者が持っている「野菊」 に対するイメージの片鱗は窺える。
奥ゆかしさ、清楚、地味、儚げ、そんなところだろう。適当にあげてみましたが、それほど間違ってはいないと思う。
キクには悩まされている。名前がさっぱり分からないのだ。ただでさえ似ているのに園芸種がやたらと多くて区別が難しい。いや、難しいというより途方に暮れている状態だ。
現在、一般に流通している園芸種の「キク」は奈良・平安の時代に中国から持ち込まれたものが元になっているという。その他に在来種の「キク」も幾つかあり、それらは「ノギク(野菊)」と呼ばれる。つまり街中に咲いているキクは在来種(ノギク)、園芸種(日本と海外)、外来種(帰化したもの)がある。これはどんな植物にも当てはまる分類であるが、問題はキク科の園芸種が数多くあることだ。 ドーム状にみっしりと花びらが多くつくキクは園芸種だろうが、地味なタイプの園芸種もあるのだ。これでは在来種なのか、在来種に似た園芸種なのか、はたまた外来種なのか見当もつかない。どうしたものやら。
毎年、駐車場の脇に生えてくる。去年はフェンスの内側で咲いていたが、今年は外側である。在来種の「リュウノウギク(竜脳菊)/多年草」のような気もするが、ピンク色の花もあるので園芸種かもしれない。この花が在来種や帰化種でなければ当然園芸種ということになるが、それを確定させるためには数多ある園芸種から名前を特定せねばならないのだ。気が重い。
(12月撮影)
「ペラペラヨメナ/外来種」のような気がするが。(11月撮影)
上の写真と似ているが花びらの数が違う。(7月撮影)
おそらく園芸種だろうが、それにしては少し地味である。だが、人の好みはそれぞれであるから個人の印象などで判断できない。(12月撮影)
もう見当もつかない。これも園芸種だろうか。(11月撮影)
写真:zassouneko