今、これをご覧になっている方の多くは、環境や健康に対するそれなりの考えをお持ちの方だろうと思います。家庭菜園を趣味にされている方などは農薬の使用には特に敏感なのではないでしょうか。また庭や住居周りでの使用に関しても、薬剤が子供やペットへ及ぼす影響を心配されるのは当然です。
除草剤は農薬です
ホームセンターやネットで販売されている除草剤は毒性が低く、以前に比べればはるかに安全ですが、体内に入れてしまうようなことになれば影響がないとは言えません。容器から直接飲むようなことはないでしょうが、たとえば地面に撒いておく粒状タイプのものは誤って口にする恐れがあります。また噴霧するタイプだと吸い込んでしまったり濡れた葉を手で触ってしまうことも考えられます。薬剤は皮膚からも吸収されますので注意が必要です。
今のはやりは「ラウンドアップ」
今、人気が高いのは「ラウンドアップ」でしょう。これは葉にふりかけて使用する薬剤です。根からは吸収されません。即効とまではいきませんが根も枯らすことが出来ますので効果は抜群です。どんな植物にも有効ですので樹木や野菜も枯れてしまいます。また植物に吸収されずに土壌に残った薬剤は微生物で分解されるということです。薬剤は「3週間で半減する」と製造会社は主張していますので、1年たてばほとんど残留していないことになります。つまり毎年使えるということです。
同じ効果のジェネリック商品
「ラウンドアップ」は商品名で、主成分は「グリホサート」です。この薬剤の特許は既にきれていますので「グリホサート」を使用した、いわゆるジェネリックの商品がたくさん出ています。現在、販売している除草剤の大半はこのタイプです。理論上は成分が同じなので効果も同じになります。また値段も比較的安価なものが多いようです。成分表に「グリホサート」と記載してあるはずですから、すぐ分かると思います。「成分はアミノ酸系」などと記載されてもいます。また「農地にも使える」と書いてあるものを選ぶのがよいでしょう。
それでも注意しておきたいこと
「ラウンドアップ」系の利点ばかり書きましたが悪いところも指摘しておきます。ニューヨークとフランスの裁判所で「グリホサート」系薬剤が「完全に分解される」という広告に対して虚偽であると判決がでました。まあ「3週間で半減する」といっても3週間毎に半減していくだけなので、数字の上では完全な「ゼロ」にはなりませんよね。実際、デンマークでは「グリホサート」系の使用が禁止されました。分解されなかったものが井戸水に入り込んでしまい、しかも安全基準を超えてしまったからです。デンマークは農業国ですから大量に使用したのではないでしょうか。一番の問題は人体に対する影響ですが、いまだによく分かっていません。WHOは「おそらく発がん性がある」と指摘しています。慎重ですが曖昧な表現です。まあ疑わしきは罰するということでしょう。当然のことながら製造会社は「発がん性はない」と主張しています。これを未知の危険ととらえるか、楽観的にとらえるかは個人の判断に委ねられます。