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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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アキノノゲシとBLTサンド

アキノノゲシ(秋の野芥子)/キク科/アキノノゲシ属
在来種 1年〜越年草 花期は8〜11月 草丈は0.6〜2m

ご存知ない方もおられると思うので説明を。「BLTサンド」とはベーコン=B、レタス=L、トマト=Tをはさんだサンドイッチのことである。まあ、この名前を知らなくても、また一生食べなくとも何ら問題はない。我が家では年に2回ほど気がむいた時に作る。食パンにマヨネーズとマスタードを塗り、タマネギのスライスや、手元にあればカイワレダイコンやスライスチーズも加えて適当にアレンジしている。パンはトーストしたり、しなかったり。その時の気分である。トマトを入れないこともあるので、もう「BLTサンド」ではないが気にしない。


唐突にサンドイッチの話を始めたのは「レタス」を取り上げたかったからである。「レタス」と「アキノノゲシ」と何の関係があるのかと思われるだろうが、実は「レタス」は「キク科/アキノノゲシ属」なのである。

平安時代の頃に「チシャ(萵苣)/キク科/アキノノゲシ属」という植物が唐から渡ってきた。エジプトやアラブの周辺で紀元前から食用とされており、そこからヨーロッパや東の国に伝わっていったようだ。10世紀頃の書物にはすでに「知佐」「知散」と記述があり、江戸時代の末には「チサ」「チシヤ」と呼ばれていたようだ。だが、現在では「チシャ」と言われても、それが野菜のことだと知る者は多くはいまい。上方落語に「ちしゃ医者」という演目がある。「駕籠医者」「夏の医者」などもだいたい同じ内容で、元話は18世紀中頃に形となったよう だ。「ちしゃ医者」「駕籠医者」「夏の医者」などは元話から派生した噺だろう。ただ、「ちしゃ医者」は「ちしゃ」「いしゃ」という間違えやすい言葉が噺の肝になっている。題名にするぐらいだから、それなりに「チシャ」が知られていたことになる。

現在では「チシャ」を野菜売り場で見ることはないが、品種改良されたものはある。それが「サラダ菜」である。日本に渡った「チシャ」は「サラダ菜」になったが、ではヨーロッパに渡ったものはどうなったか。すでに皆さんも見当がついていると思うが、あの「レタス」になったのである。「サニーレタス」も「グリーンリーフ」も「ロメインレタス(私は知らんがそういうのがあるそうだ)」も「サンチュ」もそうである。

「チシャ」も上に挙げた「レタス類」も放置しておくと、やがて茎が伸び花が咲く。葉が野菜のままなので、ちょっと植物全体のバランスが変な気もするが、花は「アキノノゲシ」のようなキク科の特徴をちゃんと受け継いでいる。

さて、皆さんはこう思われていると思う。「なるほど、チシャ(日本語でいうところの)がレタスになったのか」と。ところが、それでは半分正解で半分間違いなのである。なぜなら「チシャ」の英語名は「レタス(Lettuce)」なのだから。

写真:zassouneko
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