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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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ヨシ(葦)/その1/とりあえず「ヨシ」ということで

ヨシ(葦)/イネ科/ヨシ属
在来種 多年草 花期は8〜10月 草丈は1.5〜3m 湖や池、沼の水辺に生える

新たな雑草との出会いを期待して、ふらふらと散歩をしているわけであるが(散歩だけだと退屈なのである)、年に1〜2回は新たな大物に出くわす。大物といっても私の中では「目新しい、派手」という意味になる。今回はそれに相応しく草丈が2m以上もある文字通りの大物が登場した。まだ「ヨシ」と確信したわけではないが、イネ科ヨシ属の植物の可能性が高い。葉のつき方はススキやオギとは違う。

葉の中央に明確なラインはない。イネ科の多くは中央にラインがある。絆創膏は気にしなくてよろしい。軽い火傷である。
上の写真は「ススキ」。中央のラインが目立つ。

「葦」のイメージはこうなんだよなあ。写真は無料画像サイトより

まず最初に「ヨシ」の歴史から探ってみよう。ということで、いきなりだが日本は昔から「日本」と呼ばれていたわけではない。平安時代は「大和」が一般的だが、それ以前はいろいろな名前で呼ばれていた。その中に「豊葦原瑞穂国(とよあしはらみずほのくに)」、「葦原中国(あしはらのなかつくに)」と「葦」がつくものがある。前者の意味は「葦の穂の豊かにめでたく生いしげる国」というものらしいが、「葦の穂」と「豊かさ」の関連が分かりづらい。だが、「アシ(ヨシ)」が昔から人々に利用されてきたという歴史を見れば理解できる。「ヨシ」は現在の生活の中だと日除けの「葦簾(ヨシズ)」ぐらいしか思い浮かばないが、昔は屋根材として大活躍したのである。

穂が出ている。8月の中旬に撮影。

屋根はとにかく防水が肝心である。厚く敷き詰められた「ヨシ」は水を通さず、また、断熱や遮音にも効果がある。この工法はいつからあるのかというと、何と縄文時代である。出土した住居を復元して展示している遺跡は各地にあるので、もし行かれるのなら屋根を見てほしい。「茅葺き屋根」は現在でもいくつか残っているから、四千年ぐらいの歴史があることになる。それほど優秀な工法なのである。

「茅葺き(カヤブキ)」の「カヤ」は一つの植物の名前ではなく、「ススキ」や「チガヤ」「ヨシ」などの総称である。また「藁葺き(イネを使用)」というものもあるが耐久性に難がある。「茅葺き屋根」に使われる植物には油分があり水を弾くが「イネ」はそうではなく、水を吸ってしまうので腐るのが早いというのをどこかで読んだ気がする。

さて、そんな「茅葺き屋根」であるが日本独自というわけではなく世界中で見られる。特に現在のオランダでは裕福な者が競うように「茅葺き屋根」の家を建てるという。成功者のシンボルでもあるわけだ。これはオランダという国の成り立ちや地理的特性、自然環境、また国民としてのアイデンティティの象徴でもあるのだろう。「茅葺き屋根 オランダ」で画像検索していただきたい。屋根は「茅葺き」なのだが雰囲気が違うので面白い。いってみれば和風と洋風だ。「茅葺き=和風」ではないのである。

上の写真は海外の無料画像サイトで「アシ」を検索したもの。日本のものと似ている。

さて「ヨシ/その2」では街中に「ヨシ」が生えてきた理由を推理してみる。

写真:zassouneko
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